研究課題/領域番号 |
22K05739
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
山溝 千尋 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 (20455314)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ストレス耐性 / 生合成経路 / 加水分解性タンニン / 二次代謝産物 / アルミニウム耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
酸性土壌は、世界の陸地面積の約3割を占める問題土壌で、有害なアルミニウムイオンが植物の生育を阻害する。これまでに、酸性土壌でも元気に育つユーカリの根から、新規のアルミニウム無毒化物質として、加水分解性タンニンを発見した。しかしながら、加水分解性タンニンは一部の被子植物に限定的に存在し、草本モデル植物には蓄積しないため、その代謝機構の解明は遅れている。本研究では、ユーカリのゲノム情報を活用して、加水分解性タンニンの生合成に関与する遺伝子を明らかにして、その遺伝子を本来タンニンを合成しない草本モデル植物に導入して、新たに合成された代謝産物のアルミニウム耐性における役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、酸性土壌で植物の生育を阻害する主な要因であるアルミニウムを無毒化する、加水分解性タンニンの生合成機構とその役割を明らかにすることを目的としている。極めて強いアルミニウム耐性を示し、加水分解性タンニンを多量に蓄積するユーカリからは、加水分解性タンニン生合成の第一段階と第二段階の反応を触媒する酵素遺伝子が2つずつ同定されている。第三段階以降の反応を触媒する酵素の候補遺伝子を、トランスクリプトーム解析によって探索し、既知の遺伝子の発現量との相関を指標に24の候補遺伝子を得た。しかしながら、形質転換ユーカリを作出して候補遺伝子の機能を明らかにするには、多大な労力と時間を要する。そのため、本来加水分解性タンニンを蓄積しない草本モデル植物を活用した迅速な解析系を確立し、代謝機構解明の加速を目指した。 これまでに、加水分解性タンニンを蓄積しないベンサミアナタバコ葉で、ユーカリから単離されている既知の酵素遺伝子を一過的に過剰発現させることで、生合成の一部を再現し、中間代謝産物を生成することに成功した。この解析系により候補遺伝子の絞り込みを効率的に行えると考え、原著論文や国際学会で報告した。現在、候補遺伝子を一過的に過剰発現してタンパク質を産生させたベンサミアナタバコ葉に、基質を注入して、生成される中間代謝産物を調べている。今後、その結果をもとに候補遺伝子のさらなる絞り込みを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画どおり、トランスクリプトーム解析により得られた候補遺伝子について、ベンサミアナタバコ葉における一過的発現解析系を用いて、その機能解析を始めた。また、候補遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナの作出および選抜を計画通り進めている。令和6年度に予定していた投稿論文も令和5年度中に掲載され、国際学会で口頭発表も行ったことから、当初の計画以上に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
トランスクリプトーム解析によって、加水分解性タンニン生合成の第三段階から第六段階のガロイル基を付加する反応を触媒すると想定される候補遺伝子が複数得られた。そのため、これらの遺伝子群のクローニングおよび機能解析を始めている。次年度は、これらを中心に解析を進め、候補遺伝子の絞り込みを行う。また、これらの候補遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナを用いたストレス耐性検定を行い、中間代謝産物のアルミニウム耐性における役割を検証する。
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