研究課題/領域番号 |
22K05742
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
本間 航介 新潟大学, 佐渡自然共生科学センター, 准教授 (50323960)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 萌芽 / 潜伏芽 / bud trace / X線CT画像 / 落葉広葉樹 / バッド・トレース / CT画像解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、萌芽の発生原器となる潜伏芽の蓄積度合いが樹木の萌芽能力を決める因子となっているという仮説をたて、これをブナ科落葉高木で検証する。 潜伏芽は芽が樹皮表面で休眠したもので、木部の肥大成長と共に樹体内を移動し木材内にその痕跡(bud trace)を残す。このため、潜伏芽の蓄積・喪失過程は、樹体内のbud traceの消長を年輪と合わせて解析することで明らかに出来る。 本研究では、ブナ科落葉高木について1個体あたり10000枚超の高解像度切片画像を3D合成してbud traceの三次元画像を生成し、これを年輪データと合わせて解析することで個体内の全ての潜伏芽の消長パターンを明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、以下の項目について研究を実施した。 1:ブナ科の主要な薪炭林構成樹種のひとつであるクリについての伐採試験を実施した。佐渡市の新潟大学で管理する放棄薪炭林において、天然更新したクリを20個体選定し、萌芽の原器となる潜伏芽の待機位置と数を全ての個体で計測した上で、5個体を2022年8月に地際から2mの高さで伐採した。5個体は2023年5月伐採個体、5個体はx線CT撮影供試木、5個体はコントロールとした。 2:X線CT用供試木5個体を地際から伐採したのちに20cm長の小片100個に切断して乾燥した。これを試料として新潟県工業技術総合研究所のマイクロX線CT撮影装置を用いて0.12mm間隔の断層撮影画像を取得した。得られた断層画像を3D再構築したのち、潜伏芽が樹木内で移動した軌跡であるbud traceの数・消長を時間軸上で解析した。 3:クリは日本の萌芽薪炭林の主要構成種のひとつであるため、潜伏芽数やbud trace密度、萌芽反応性は高い値を示すことが期待されたが、同じ萌芽薪炭林の主要構成種であるコナラやミズナラよりもブナの値に近かった。同種は実生更新の初期段階から5年程度は攪乱を受けた場合にこれに反応する潜伏芽を貯蔵しているが、その後アクティヴな潜伏芽を急速に失い、地際部付近での伐採に対する萌芽更新能力は低いと判定された。 4:上記結果は、第133回日本森林学会大会にて発表した。石原奏・本間航介.「クリの萌芽と潜伏芽の関係性」. 第133回日本森林学会. オンライン. 2023年3月.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、クリの伐採試験、X線CT画像解析に加えて、ブナ科常緑樹の潜伏芽数計測やイヌブナ・ウバメガシの潜伏芽観察を行う予定であったが、コロナウイルス感染症の拡大に伴う出張の自粛や、申請者自身の病気入院・療養に伴いフィールドに出る時間が制限され、これにより研究速度を落とさざるを得なかった。クリについてのデータ解析は順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降は、以下の研究を実施する。 1:クリ、イヌブナ、ウバメガシにおける伐採試験とX線画像解析の実施 2:ブナ科照葉樹(アカガシ・シラカシ・アラカシなど)の潜伏芽の観察 3:ブナ科照葉樹の伐採試験とX線画像解析の実施 4:上記結果を用いた日本産ブナ科樹木における潜伏芽と萌芽の関係性についての総合考察
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