研究課題/領域番号 |
22K05744
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小林 元 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (40325494)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 森林動態 / 生態系純生産量 / 積み上げ法 / 標高傾度 / 土壌呼吸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では信州大学西駒演習林の亜高山帯常緑針葉樹林において,地球温暖化に伴う炭素貯留量の変動および森林動態を予測することを目的とした研究をおこなう。本研究では推移確率モデルの手法を生産生態学に応用し,将来の森林の直径階分布から,積み上げ法によって純一次生産量を推定する。また,土壌からの二酸化炭素放出量を測定することで従属栄養呼吸も評価して,温暖化によって亜高山帯の生態系純生産量がどのような影響を受けるか総合的に評価する。さらに,モデルのパラメータを標高傾度によって温度環境の異なる3つの試験地からそれぞれ取得することで,将来の気温上昇に伴って生態系純生産量がどのように増減するか予測する。
|
研究実績の概要 |
信州大学西駒ステーションの70年生亜高山帯常緑針葉樹林二次林に設置された固定試験地において,下層木の林分動態について検討した。標高2045m,2255m,2453mの固定試験地内に設置された10m×10mのサブプロットにおいて,下層木の毎木調査を行い,2009年,2013年のデータと比較した。調査は樹高0.1m以上,1.5m未満の全個体を対象とし,新規加入率と死亡率を求めた。2000mプロットにおいては,前回調査時(2013年)と比べて下層木全体の死亡率は増加し,新規加入率は低下した。特に高木性広葉樹の死亡率が大きく増加したが,針葉樹は逆に新規加入率は増加した。このことから,2000mプロットでは今後は本数密度比の63%を占める広葉樹が針葉樹と入れ替わっていくことが予想される。2200mプロットにおいても前回調査時と比べて下層木全体の死亡率は増加したが,新規加入率の低下は小さく,下層木の本数密度比の70%を占める針葉樹後継樹の個体数は増加していた。本数密度が最も高い2400mプロットにおいては,前回調査時と比べて下層木全体の死亡率はほとんど変わらず,新規加入率は増加していた。しかしながら新規加入率は依然として死亡率を下回っていたことから,下層木の本数密度比の89%を占める針葉樹後継樹の個体数はわずかに減少していた。2400mプロットにおいては今後も個体数の減少は続いていくと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
亜高山帯二次林の将来の林分構造に大きな影響を与える下層木の動態について,標高ごとの傾向を明らかにすることが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
西駒演習林の固定試験地において細根動態のモニタリングを開始する。細根のモニタリング方法は手良沢山演習林のヒノキ林で行っている方法を採用し,ルートスキャナ法とコアサンプリング法を組み合わせて行う。手良沢山演習林では土壌断面の撮影にA4判のスキャナーを用いているが,西駒演習林では大型の測機を運び込むことが困難である。そこで,撮影にはコンパクト型のデジタルカメルを用いる。デジタルカメラにはマクロ撮影モードを備えるオリンパス社のTG-5を採用する。予備実験では,このカメラにLEDライトガイド(LG-1,オリンパス社)を装着することでアクリル板へのカメラ照明の反射を最小限に止め,鮮明な土壌断面の映像を撮影することに成功した。土壌に埋設するスキャナーボックスはカメラのサイズに合わせて,幅90mm,奥行60mm,高さ250mmの小型サイズにする。スキャナーボックスのサイズを小型化することで,土圧や凍結に対するボックスの耐久性を高めることが期待出来る。また,調査地での土壌攪乱を最小限に止めることも出来る。ボックスの素材には5mm厚のアクリル板を用いて,加工は業者に依頼する。このスキャナボックスを15ヶ作成し,固定試験地の土壌呼吸チャンバーの隣に設置し,細根動態のモニタリングを行う。
|