研究課題/領域番号 |
22K05750
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田村 美帆 九州大学, 農学研究院, 学術共同研究者 (20918594)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | クルメツツジ品種 / ミヤマキリシマ / 花形態 / 開花期 / 遺伝子 / クルメツツジ / 遺伝資源 / 花関連遺伝子 / 品種の起源 |
研究開始時の研究の概要 |
ツツジは江戸時代から園芸に利用されてきた日本原産の樹木種の一つである。中でもクルメツツジ品種は起源となる野生種や大正期までに作出された品種が維持されており、遺伝資源の規模や品種成立過程を明らかにするための最適な研究材料の一つである。本課題では、花の形態形質に関与する遺伝子群を中心に、集団遺伝学的視点による解析、育種分野で利用される形質とのアソシエーション解析を行い、品種群と野生種を関連づけ、両者の遺伝資源の規模を理解する。ゲノム情報も利用して、品種化の起源、花形態選択の嗜好性や戦略性および品種間の系譜の明確化へと研究を発展させる。
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研究実績の概要 |
クルメツツジ品種の起源を明らかにするため、起源とされるミヤマキリシマ・ヤマツツジ・サタツツジの野生個体の収集を行うとともに、これらの野生種とクルメツツジ品種に対してSSRによる遺伝子型を用いて遺伝構造解析を行なった。その結果、クルメツツジ品種は、起源とされる全ての野生種と僅かに異なることが明らかとなった。これが産地を原因とした相違であることも考えられる一方で、その相違は僅かであることから人為選抜の影響を受けている可能性が示唆された。 SSRマーカーによる遺伝資源評価以外に、花器形態・開花期・花色の3点に関する特性評価および、それに関与する遺伝子の単離を進めた。これら特性に主要に関与すると考えられる遺伝子は8割程度単離できた。さらに、NGSを利用して花器官で発現する遺伝子を網羅的に単離し、この情報に基づいてクルメツツジ品種で未単離の遺伝子の同定を進める。 特性評価のうち、開花期については2年間実施し、概ね傾向については把握した。花器形態については、画像解析に供するための標本を作成している。さらに、花色については、野外でのデジタル画像、標本を用いたスキャナーによる画像取得および色差計3つの異なる手法の検討を行なっている。特に、野外でのデジタル画像の精度の評価は、高山植物として保護されるミヤマキリシマを採取することなく、花色の多様性を評価する上で重要と考えており、データを蓄積している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミヤマキリシマについては保護区域を含めた国立公園内でのサンプル採取許可が得られないため、材料収集に苦心している。同様に許可が得られないものとしてサタツツジがある。これらの対応として、環境省以外の別機関等が管轄する地域から採取許可を申請することで、代替のサンプルを取得している。国立公園を管理する環境省から採取許可が得られないことを除けば、その他機関からサンプル採取ができているため、順調である。 特性評価のうち、開花期については評価法を確立した。花器形態については、概ね確立していたものの、ABCモデルに基づく変異体が乏しかったことから、さらにサンプルを収集しているところである。花色についてはある程度の手法は確立し、各種法における誤差の評価を進める必要性がある。 環境省からの採取許可が得られないことを除けば、概ね研究は順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
クルメツツジ品種の遺伝資源としての特性評価は概ね終了した。従って、ABCモデル・開花期・花色についてはアントシアニン系、それぞれに関与する遺伝子のゲノム上での完全配列を決定する。ゲノムを対象とする理由は、本研究が系譜推定が主目的であり、採取時期に依存しないDNAが研究目的に合致するためである。 特に、各特性の特徴的な品種を対象として、ゲノム配列状の差異を明らかにする。これらの差異は、系譜推定に利用するとともに、特性との関連性を評価するためのアソシエーション解析に供試する。
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