研究課題/領域番号 |
22K05764
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 聡一 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (50730321)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 木材 / 薬液含浸 / 水撃作用 / 耐久性 / 保存 |
研究開始時の研究の概要 |
木材の水撃含浸法における液体浸透機構と液体浸透促進条件の解明に向けて、試作した水撃制御含浸装置、粘性を制御した液体、および国産針葉樹・広葉樹の木材を用いて、打撃で発生させた水撃作用で液体に生じた圧力波が木材への液体浸透量と浸透領域に及ぼす影響を調べ、その結果を踏まえて装置の改良を行う。それと同時に、組織構造に及ぼす影響も調べ、液体浸透への浸透阻害部貫通の寄与を明らかにする。また、水撃作用を与えた木材の液体浸透の様子をin-situで観察し、液体浸透部貫通へのキャビテーションの寄与を確かめる。
|
研究実績の概要 |
薬液含浸は、木材の欠点改善や特性付与に欠かせない。しかしながら、一般的な含浸処理手法である加圧注入法では、木材の処理ムラや圧潰が生じ、処理時間が長くなることが問題だった。そこで申請者は、水撃含浸法による木材への液体浸透の促進を考えた。同手法では、木材を入れた半開放容器を液体で充填して打撃すると水撃作用が生じ、それによって木材に液体浸透することがわかり、木材の圧潰も起こりにくいことが示唆された。これは、水撃作用により木材中の浸透阻害部(閉鎖壁孔やチロース)が貫通されたためであると推察されたが、その機構は明らかではなかった。また、水撃作用が液体浸透に及ぼす効果は実用的にも十分とはいえなかった。本研究の目的は、木材の水撃含浸法について液体浸透機構の解明を目指すと同時に水撃作用による液体浸透の効果的な促進方法について装置開発を進めることである。 令和4年度には、木材に水撃作用(圧力波:パルス波)を加えるためのシステムを構築した。液体浸透への木材組織構造(浸透阻害部)貫通の寄与を確かめるため、水撃作用を付加した後の木材試験片の組織構造についてマイクロスコープと走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。その結果、スギについては浸透阻害部である閉鎖壁厚が水撃作用によって開通することが明らかとなり、広葉樹のキリとウリンについては浸透阻害部である道管中のチロースが部分的に除去されていることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度には、木材に水撃作用(圧力波:パルス波)を加えるためのシステムを構築した。液体浸透への木材組織構造(浸透阻害部)貫通の寄与について、その一部を観察によって確かめることができた。これは、当初は令和5年度に行う予定だったものであるが、先行して行うことができた。一方、令和4年度に実施予定だった木材への液体浸透が促進される水撃作用の条件を探すことは未だにできていない。これは、水撃作用を発生させる装置の耐久性が低く、たくさんの水撃作用を付加できることができなかったことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度では、主に令和4年度に実施できなかった課題である、木材への液体浸透が促進される水撃作用の条件の調査を行う予定である。そのために水撃制御含浸装置を改造し、装置の耐久性を向上させる予定である。また、液体浸透への木材組織構造(浸透阻害部)貫通の寄与について、他の樹種についても調査を行う予定である。
|