研究課題/領域番号 |
22K05772
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
鈴木 悠造 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30883748)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | リグニン / 低分子フェノール類 / 微生物代謝 / ポリマー原料 / キラル / ラセミ体3-カルボキシムコノラクトン / S体3-カルボキシムコノラクトン / 微生物 / 3-カルボキシムコノラクトン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、リグニン由来の新しいポリマー原料を創出するために、微生物によるリグニンの分解過程で中間代謝物として生成するキラル化合物「3-カルボキシムコノラクトン」に着目した。3-カルボキシムコノラクトンには1対の鏡像異性体(S体とR体)が存在する。これらをポリマー原料として用いれば、光学活性特有の機能性材料が合成できるだけでなく、異性体のブレンド比率を調整することで新たな物性も付与できる可能性がある。本研究では、立体選択的な微生物反応を用いて、リグニン由来の低分子フェノール類から、3-カルボキシムコノラクトン(S体とR体)の2種類の光学活性体を単一化合物として生産する技術を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、リグニン由来の新しいポリマー原料を創出するために、微生物によるリグニンの分解過程で中間代謝物として生成するキラル化合物「3-カルボキシムコノラクトン(3CML)」に着目した。本研究の目的は、Neurospora crassa N150株がもつ立体選択的なカルボキシムコン酸ラクトン化酵素をはじめとした変換酵素群を利用して、バニリンやp-クマル酸等のリグニン由来低分子フェノール類から、3CMLの2種類の光学活性体(S体とR体)を単一化合物として生産する技術を開発することである。 これまでに、S体3CMLの生産系を構築した。令和5年度は、R体3CMLの生産系の構築に向けて、ラセミ体3CMLの生産系の構築を試みた。先ずラセミ体3CMLの前駆体となる3-カルボキシムコン酸(CMA)の生産株を作出した。Sphingobium lignivorans SYK-6株やPseudomonas putida KT2440株由来の種々の変換酵素遺伝子をクローニングすることで、リグニン由来フェノール類からCMAを生産するためのプラスミドを作製した。作製したプラスミドをCMAの代謝機能をもたないPseudomonas putida PpY1100株に導入することで、CMA生産株を作出した。作出した生産株を用いて、バニリンやp-クマル酸等のリグニン由来フェノール類からCMAを生産した。CMAを含む培養液にリン酸で酸処理を施すことで化学的にラクトン環を形成させ、ラセミ体3CMLが生成することを見出した。さらに、培養液中からS体およびラセミ体3CMLを抽出し、酢酸エチルによる再結晶化で精製する条件を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画どおり、バニリンやp-クマル酸等のリグニン由来低分子フェノール類からラセミ体3CMLの生産系を確立したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
リグニン由来フェノール類からR体3CMLを生産する条件を確立する。具体的には、ラセミ体3CMLに対して、Neurospora crassa N150株由来の立体選択的な代謝機能を作用させS体CMLのみを代謝させることで、R体3CMLを分離する条件を明らかにする。
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