研究課題/領域番号 |
22K05774
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
杉元 倫子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20353732)
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研究分担者 |
高田 依里 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50806833)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 木材化学 / 代替分析法 / エタノール/ベンゼン抽出 / アルカリ性ニトロベンゼン酸化法 / Wet Chemistry / 木材化学分析 / ニトロベンゼン酸化法 |
研究開始時の研究の概要 |
学術分野においても、分析者の健康への影響、実験中に使用する試薬や後に出てくる廃棄物等の環境への負荷、などへの配慮が求められている。そのため、これまで広く用いられた優れた分析手法でも、先に述べた配慮に適応できる代替分析手法の開発が望まれている。 そこで本研究では、木材化学分析の初段の「エタノール/ベンゼン抽出法」と、木材の主要成分であるリグニンの構造を分析する「ニトロベンゼン酸化法」の代替分析法を、技術が目覚ましく進歩する分析機器を使うのではなく、分析の「精度(正確さ・精密さ)」という点で優れる「Wet Chemistry(*)」の手法で開発する。(*)古典的な技術と設備で行える化学分析法。
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研究実績の概要 |
本研究では、木材化学分析の初段となる、エタノール/ベンゼンを代替する抽出法の開発(課題1:研究分担者・高田担当)、アルカリ性ニトロベンゼン酸化法を代替するリグニン芳香核分析法の開発(課題2:研究代表者・杉元担当)に取り組んでいる。 課題1では、代替抽出溶媒の候補となり得る溶媒を選定し、共沸条件を元に混合溶媒の混合比率と加熱温度を決定した。スギ材を用い、選定した溶媒で常法と同様にソックスレー抽出を行い、エタノール/ベンゼン抽出物量との比較を行ったところ、ベンゼンに加えて、エタノールも変更したメタノール系の混合溶媒3種を用いた場合に、エタノール/ベンゼン抽出物量より多くの抽出物量を得た。これら3種に加え、抽出物量がエタノール/ベンゼン抽出と同程度で、より取り扱いが容易なメタノール系混合溶媒2種が、代替溶媒の候補となりえることを明らかにした。 課題2については、「取り扱いが容易」な試薬を用いてのリグニン芳香核構造分析のための酸化分解法を開発する一環として、ジクロロメタン抽出を経て、ガスクロマトグラフィーにて生成物を定量する、常法のニトロベンゼン酸化後の定量法の変更を行った。定量時の内部標準化合物候補の検討などを行い、液体クロマトグラフィーによる安定した定量結果を得るための、分析条件を決定した。また、必要試料量を可能な限り少なくしつつ、加熱・酸素加圧下で、均質な反応が進行するのに充分な撹拌が行える、という要件を満たす反応容器の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題1については順調に進展しているが、課題2において、計画時の見込みが外れ、反応容器の選定およびその設営に時間を要してしまっている。但しその間にも、使用する樹種の選定、試料調達・調整などの準備は進めている。
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今後の研究の推進方策 |
課題1については、抽出物の定性的な議論の前に、他の樹種での比較を行い、溶媒候補を絞って定性分析を行う方向を考えている。また本研究において「取り扱いが容易」な試薬としてどういうものを許容するか、具体的な要点についても整理する。 課題2については、反応容器等の実験環境と体制を早急に整え、調整した試料を用いた具体的検討を進める。また今後の試料選定時に、必要な場合は先行している課題1と同じ試料を用いるなど、課題間の連携を深める。 また本年度は、研究の進行状況に対してターゲットと考える学会の開催時期が合わないなどの理由でかなわなかったが、次年度からは早めに打ち合わせを行い、積極的な成果発表を考えている。
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