研究課題/領域番号 |
22K05784
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
速水 祐一 佐賀大学, 農学部, 准教授 (00335887)
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研究分担者 |
高巣 裕之 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (00774803)
小森田 智大 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (10554470)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 河川感潮域 / エスチュアリー / 酸素消費 / 物質循環 / 栄養塩 / 有明海 / 六角川 / 筑後川 |
研究開始時の研究の概要 |
内湾の富栄養化問題の原因解明・対応策検討のためには栄養塩収支の把握が重要である.しかし,これまでその中で流入河川の感潮域(エスチュアリー)のはたす役割には注目されてこなかった.我々の予備的な研究では,潮汐振幅の大きな河川感潮域(マクロタイダルエスチュアリー)は,下流の海域に対して栄養塩の大きなソースになっている可能性がある.海域で生産された有機物が上流のエスチュアリーに輸送され,そこで分解,無機栄養塩が再生し,それが海に流入するのである.そこで本申請では,有明海奥部に流入する六角川・筑後川の感潮域において,上記のプロセスが成立していることを立証し,さらにその定量化と季節変動の解明を進めたい.
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研究実績の概要 |
有明海奥部に流入する1級河川である六角川の河口沖から河川感潮域にかけて,春季・夏季に各1セットずつの現地調査を実施した.各セットの調査は連続する大潮・小潮に各1回実施する水質断面観測からなる.また,六角川感潮域の1カ所に自記記録式の水質計を設置し,9月末まで水温・塩分・濁度・クロロフィル蛍光,溶存酸素濃度の連続観測を行った.水質断面調査では,多項目水質計による表層から海底までの水質分布測定を行うと共に,表底2層で分析用の採水を行った.採水試料については,SS,栄養塩,クロロフィルa,粒状態有機炭素窒素濃度・炭素窒素の安定同位体比,アミノ酸含有量と組成の測定に供した.9測点のうち3点では実験用の試水と底泥コアを採取し,実験室に持ち帰り,海水と底泥による酸素消費速度,栄養塩回帰速度測定のための培養実験に供した.その結果、六角川感潮域では3月から11月まで貧酸素水塊が発生していること,酸素消費速度は大潮の方が小潮よりも大きいこと,酸素消費速度は濁度・クロロフィルa濃度と正の相関があること.冬季に大きな負の栄養塩再生量があり,脱窒あるいは粒子による無機栄養塩吸着の影響が疑われること等が明らかになった. 有明海奥部に流入する別の1級河川である筑後川の河口沖から河川感潮域にかけて,秋季・冬季に各1セットずつ,六角川の場合と同様の現地調査を実施した.また,筑後川感潮域の1カ所に自記記録式の水質計を設置し,11月から水温・塩分・濁度・クロロフィル蛍光,溶存酸素濃度の連続観測を実施中である. 六角川における調査結果については、2回の学会発表で成果を報告すると共に,現在論文2編を執筆中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りに6月・9月に六角川において春季・夏季の観測を実施、11~12月・2~3月には筑後川において秋季・冬季の観測を実施した。これらの観測は大潮・小潮時のエスチュアリーの水質断面観測である。また、昨年度に引き続き、佐賀県有明水産振興センターの協力の下、9月まで六角川感潮域の1点で係留観測を実施した。11月からは、佐賀県土木事務所の協力の下、筑後川感潮域の1点で係留観測を実施中である。各水質断面観測の後には、観測で得られた試水・底泥を用いた培養実験をおこない、酸素消費速度・栄養塩回帰速度を求めた。観測・実験で得られた試水の栄養塩濃度については、六角川の調査分については全て分析を終えることができた。POMの炭素窒素濃度および安定同位体比、アミノ酸組成については現在分析途中である。六角川でおこなった観測の結果については、2023年度の日本海洋学会秋季大会、2023年度九州沖縄地区合同シンポジウムで発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に引き継いで、筑後川感潮域の1点で係留観測を継続実施する。筑後川感潮域における調査研究(水質断面調査)を2024年春季・夏季の大潮・小潮時に実施する。通常の断面調査に加え、夏季には筑後川河口において1潮汐栄養塩フラックス調査を実施する。 水質断面調査については、調査で得られた試水・底泥を用いた培養実験を実施する。培養実験では酸素消費速度と栄養塩回帰速度を求める。観測・実験で得た試水については、SS・クロロフィルa・栄養塩・粒状態有機炭素窒素・窒素炭素安定同位体比・アミノ酸について分析する。2023年度中に得たサンプルと合わせて2024年度中に全ての分析を終えたい。 1潮汐栄養塩フラックス調査では、筑後川河口においてADCPを用いた12時間往復観測を行い、1潮汐間の流れの分布変化を測定する。同時に1時間毎に採水を行い、試水について溶存無機態の栄養塩・粒状態有機炭素窒素の濃度を測定し、その結果を合わせて1潮汐間積分することで河道方向における正味の栄養塩水平輸送量を求める。 六角川における観測結果については、2024年度中に複数の論文として投稿する。筑後川における観測結果については、2024年度中に学会発表を行いたい。
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