研究課題/領域番号 |
22K05788
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
佐藤 成祥 東海大学, 海洋学部, 講師 (40723854)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ヨーロッパマツイカ / 精子貯蔵 / 遺伝的多様性 / 単婚 / 複婚 / トビイカ / アカイカ / 配偶システム |
研究開始時の研究の概要 |
スルメイカ等、資源量が多い外洋性頭足類であるアカイカ科は、複数の精子貯蔵器官を口球周辺に持ち、乱婚制の配偶システムを持つ。一方、同じアカイカ科にもかかわらず、マツイカ属だけは精子貯蔵器官を持たず、単婚の配偶システムを有する可能性が示唆されている。この違いに関して、本申請は遺伝的多様性とのかかわりに注目し、①アカイカ科における二つの精子貯蔵戦略を明らかにし、②その精子貯蔵戦略の違いがどのように遺伝的多様性に影響するかを調べることで、資源の維持機構に重要な要因に迫る事を目的とする。
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研究実績の概要 |
ヨーロッパマツイカの雌が貯蔵する精子塊のDNA解析がすべて終了した。19個体の雌が保有する精子塊は場所ごとに塊のように複数の精子塊がまとまって配置されていた。このまとまりをバッチと表現し、解析を行ったところ、平均1.5バッチの精子塊を保有し、バッチあたりは平均253個もの精子塊が含まれていることが分かった。 これらのバッチから24本の精子塊をランダムで選び、DNA解析を行った結果、74%のバッチは単一の雄によるものであることが明らかとなった。残りは複数雄が関与しており、最大で4個体の雄の精子塊がバッチに含まれていることもあった。複数雄が関与するバッチはいずれも300本を超す、大量の精子塊を含むものであり、バッチ数の増加に伴い、雌の交接する雄の数は増加していることが分かった。しかし、雌の体サイズはバッチ数、交接相手の数のいずれにも相関関係が見られなかったことから、大きな雌ほどたくさんの雄と交接しているわけではなさそうだ。しかし、精子塊数は正の相関関係にあるため、大きな雌は雄から好まれている可能性が考えられた。 トビイカにおいては、合計112個体のサンプリングを行い、成熟雄12個体、成熟雌8個体を得ることができた。雄のGSIは平均1.5とそれほど高い値ではなかった。また、雌の保有精子塊は平均15.5個、貯精嚢の数は平均63.8個で、スルメイカよりもはるかに多い数の貯精嚢を保有していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していたスジイカの採集だが、残念ながらサンプルを獲得することができなかった。釣獲での採集を予定していたが、釣獲は想定より運に左右されていることが分かり、狙って採集するのは、サンプリング回数が重要である。さらに、ヤセトビイカに関しても、混獲がほとんどなかったため、サンプル数を増やすことができなかった。 さらに、遺伝的多様性に関する研究が滞りを見せている。当初、遺伝的多様性に関する研究を分担する予定だった研究者が本研究テーマから離脱し、その代わりとなる研究者を探していたが、なかなか当てがなく、この仕事を前に進められないでいるのが主な理由である。
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今後の研究の推進方策 |
ヨーロッパマツイカの研究成果がすべて出そろったので、本年度中に投稿予定である。この研究に加えて、他の日本産アカイカ科の精子貯蔵に関する形質を使って系統解析を行う。サクラエビ漁に乗船し、ヤセトビイカの情報を集めるとともに、スジイカについても引き続きサンプリングを継続して行う。 また、遺伝的多様性の研究テーマを実施する研究者をなんとか見つけ、研究実施の目途を立てる。 さらに、本研究計画にはないが、マツイカの配偶システムが分かったため、数理モデルを扱える研究者を探して、乱婚型のスルメイカと単婚型のマツイカにおける遺伝子流動モデルを作成し、どのように遺伝的多様性が維持され、またどれだけ脆弱なのかについて検討する。
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