研究課題/領域番号 |
22K05790
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 尚絅大学 |
研究代表者 |
野中 里佐 尚絅大学, 生活科学部, 准教授 (70363265)
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研究分担者 |
矢野 大和 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (20646773)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 遺伝子伝達 / ベータラクタマーゼ / 薬剤耐性菌 / SE / ビブリオ属細菌 / 多剤耐性プラスミド / トランスポゾン / ビブリオ属 / 養殖場 / βラクタマーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
薬剤耐性菌問題は世界的な問題であり急速に注目が高まっている。本研究は環境中における抗菌薬使用は耐性菌の選択を行うと同時に養殖場細菌が保有する多剤耐性プラスミドの伝達や染色体への組み込み頻度を促進することで耐性菌拡大を加速させていること、また、細菌群衆内での遺伝子増幅を促すことで、環境中における高度耐性菌の出現の引き金となっていることを明らかにするために、養殖場由来多剤耐性菌をターゲットに、抗菌薬によって細菌間遺伝子伝達頻度が促進されていることおよび、複数コピーの耐性遺伝子をもつ接合体が高度耐性化していることさらに新規可動遺伝因子SEを利用する細菌の多様性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では養殖環境細菌が既知のトランスポゾン等には分類できない新規の可動性遺伝因子、SEを利用していることを明らかにしその分子メカニズム解析を行ってきた。これまでに2種類のSEが見つかっており、そのうちSE-6945はβラクタマーゼ遺伝子をコードしていることが明らかになっている。SEは伝達性プラスミド上にコードされた状態で受容菌へと移動し、その後プラスミド上から切り出され受容菌染色体上へ組み込まれる。さらにこの染色体上のSEと元のプラスミド上のSEとの間に相同組み換えが生じその結果伝達したプラスミド全長が受容菌染色体へと組み込まれる。プラスミドは染色体上へ組み込まれることにより安定して複製されるためSEの存在は伝達性プラスミドにとってもメリットが大きいと考えられる一方、養殖環境中の細菌群にβラクタマーゼ遺伝子をはじめとする薬剤耐性遺伝子が拡散する要因となっている可能性が非常に高い。 今年度はSE-6945遺伝子がコードする、新規と予想されたβラクタマーゼ遺伝子(NCBIによりblaGMA-1と命名)についてその特性を明らかにした。アミノ酸レベルでの配列解析によりblaGMA-1はクラスAグループの2cに属することが明らかになった。また本遺伝子をクローニングした大腸菌を用いた抗菌薬に対する基質特異性について検討した結果、アンピシリンおよびカルベニシリンに対しては高い最小発育阻止濃度(MIC値)を示したが、その他のβラクタム薬に対するMIC値には変化が見られなかった。このことからblaGMA-1は非常に高濃度の抗菌薬を特異的に分解する基質特異性が限定的なβラクタマーゼであると考えられた。さらに、公開済みゲノム情報を利用した比較ゲノム解析の結果、blaGMA-1のローカス間移動の分子機構としては、可動遺伝因子グループSEの転移に依存したものが最も高頻度であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目的である遺伝子伝達頻度の評価系がまだ構築できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年に引き続き過去に分離した細菌株の中からSEフリーの伝達性プラスミドをスクリーニングし再度SEのcapturingを試みる。また、別の方法としてSE保有大腸菌をレシピエントとして伝達性プラスミドを接合伝達で導入しSEのcapturingを試みる。
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