研究課題/領域番号 |
22K05802
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
関 清彦 佐賀大学, 農学部, 講師 (00264151)
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研究分担者 |
濱 洋一郎 佐賀大学, 農学部, 教授 (00243999)
後藤 正利 佐賀大学, 農学部, 教授 (90274521)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | スサビノリ / プロトプラスト / ゲノム編集 / ゲノム編集技術 / ノリ糸状体プロトプラスト / プロトプラスト再分化 |
研究開始時の研究の概要 |
和食文化に欠かせない海苔(ノリ)。ノリは日本各地で広く養殖されており,水産業の中でも特に重要な養殖品目の一つである。ノリ養殖は,近年の海水温上昇等によって深刻な打撃を受けるため,環境変化への即応手法である迅速種苗技術や,耐性新品種の迅速作出法の作出が急務である。そこで本研究では,ゲノム科学等の先端技術を活用した,ノリのプロトプラストを用いたゲノム編集による育種基盤技術の開発に取り組むことにした。本研究により,ノリのゲノム編集基盤が整えば,将来的に佐賀大学で解析したノリゲノム情報をもとに有用な形質を導入したノリ新品種が育成でき,将来のノリ産業の振興に大きな貢献を果たすことに繋がるだろう。
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研究実績の概要 |
海苔養殖の主要品種であるスサビノリの、持続的に栽培可能で環境変化に強い新品種の作出を目的に、本研究ではスサビノリプロトプラストを用いたゲノム編集技術の開発をめざしている。本年度はリポフェクション法を用いたノリプロトプラストへのCas9タンパク質の導入を目指した。 Thermo Fisher社のCRISPER-Cas9タンパク質導入に最適化された脂質ナノ粒子トランスフェクション試薬を用いることにより、ノリプロトプラストに高い効率で導入が達成されると期待した。しかし、取り込み効率はとても低いと想定された。プロトプラストは、培養24時間後には粘質物が確認され細胞壁が形成し始めた。このため、導入は、動物細胞より短い時間で終了する必要があることがわかった。プロトプラストの正常な再生に不完全なプロトプラストを用いることがひとつの有効な手段であったが、リポフェクションを用いる場合は導入効率を低下させることになると考えられたため完全なプロトプラストを用いることにした。また、プロトプラストは接着細胞のように脂質ナノ粒子との接触が十分確保できないことが考えられた。 リポフェクション法の導入条件最適化の検討に加え、Cas9タンパク質にかえてCas9遺伝子を導入することも計画した。スサビノリのコドン使用頻度が低いコドンを多く含むタンパク質は、スサビノリ細胞において発現させる際、発現が極めて限定され機能を果たさないことが報告されている。そこでスサビノリのゲノム情報から34タンパク質をコードする遺伝子の15021コドンから使用頻度を求め、薬剤耐性遺伝子およびCas9遺伝子のコドンをスサビノリに最適化するようデザインした。既報のスサビノリにおけるタンパク質の発現ベクターを参考に、Cas9の一過性発現を指標して薬剤耐性遺伝子と連結した発現ベクターを設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度の重点課題は、「プロトプラストを用いたゲノム編集システムの開発」とし、CRISPER-Cas9タンパク質とgRNAをリポフェクションによりプロトプラストに導入する系の開発であった。リポフェクションについては、Thermo Fisher社のCRISPER-Cas9タンパク質導入に最適化された脂質ナノ粒子トランスフェクション試薬を用いることにより、ノリプロトプラストに高い効率で導入が達成されると期待したが、取り込み効率はとても低いと想定された。プロトプラストは、培養24時間後には粘質物が確認され、細胞壁が形成し始めた。このため、導入は動物細胞より短い時間で終了する必要があることがわかった。また、プロトプラストであるため、接着細胞のように脂質ナノ粒子との接触が十分確保できないことが考えられた。このため、脂質ナノ粒子とプロトプラストの接触確立をあげる条件検討、一過性の薬剤耐性を付加することによる導入プロトプラストの選択性の向上が課題となった。 並行して、Cas9タンパク質にかえてCas9遺伝子を導入することも計画した。スサビノリのコドン使用頻度が低いコドンを多く含むタンパク質は、スサビノリ細胞において発現させる際、発現が極めて限定され機能を果たさないことが報告されている。そこでスサビノリのゲノム情報から34タンパク質をコードする遺伝子の15021コドンから使用頻度を求め、薬剤耐性遺伝子およびCas9遺伝子のコドンをスサビノリに最適化するようデザインした。既報のスサビノリにおけるタンパク質の発現ベクターを参考に、Cas9の一過性発現を目指し薬剤耐性遺伝子と連結した発現ベクターを設計した。2024年度これら人工合成したベクターを用いてゲノム編集の可能性を探ることにした。
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今後の研究の推進方策 |
プロトプラストを用いたゲノム編集システムの開発において、CRISPER-Cas9の細胞への導入と機能発現が課題となる。(1)Cas9タンパク質の導入として、リポフェクション法を試みる。プロトプラストと脂質ナノ粒子の接触頻度を上げるため、細胞密度、振とうなどの条件を変更する。また、薬剤(ハイグロマイシン)耐性を利用し、効率よく導入細胞を選抜する。また、リポフェクションとエレクトロポレーションを用いた導入を試みる。(2)Cas9遺伝子での導入として、ベクター法を用いてCas9遺伝子を導入発現させることに挑戦する。使用頻度が低いコドンを多く含むタンパク質は、スサビノリ細胞において発現させる際、発現が極めて限定され機能を果たさないことが報告されていることから、コドンの最適化を実施した発現ベクターを用いる。しかし、スサビノリにおいて、ベクター系は確立されておらず、既報のタンパク質発現に用いられたベクターを改変して挑戦する。将来的には、一過性の発現ベクターを用いることを期待したいが、本研究においては、Cas9を機能させ、ゲノム編集が可能であることを目標とした。
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