研究課題/領域番号 |
22K05806
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
石井 貴広 琉球大学, 農学部, 准教授 (70450393)
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研究分担者 |
西川 慶祐 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 講師 (60708064)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 軟体サンゴホロビオント / 天然物 / 環境調和型 / 防除剤 / 軟体サンゴ |
研究開始時の研究の概要 |
水産養殖が世界的な食料供給において重要な役割を果たしており、養殖技術の開発や普及が促進されているが、養殖魚介類の疾病が顕在化しており、甚大な被害を及ぼしている。現在知られている魚介類疾病に対する薬剤は、種類が限られているだけでなく、海洋環境に適さないなどの問題点を抱えている。そこで、元来海洋環境中に存在する軟体サンゴホロビオント(軟体サンゴおよび着生・共生する周辺微生物など)より、魚類疾病に対して効果を示す環境調和型の新たな防除剤候補の獲得を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、養殖魚に生じる疾病として知られている細菌感染症および寄生虫病などに効果を示す防除剤候補の取得である。そこで、沖縄県に広く生育する軟体サンゴ、さらには宿主の軟体サンゴに着生・共生する関連微生物を含めた“軟体サンゴホロビオント”に着目した。 まず、本研究の礎となる探索源の軟体サンゴの採集を開始した。沖縄県本島内の未調査区域および本島周辺の離島で生態調査ならびにサンプリングを実施し、今までに着手していない個体の採集を優先的に行った。また、各種軟体サンゴの組織片より種々の微生物の単離も行った。続いて、溶媒抽出を通じて調製した軟体サンゴ由来の抽出物を用いて、スクリーニング評価に着手した。スクリーニングには、ブラインシュリンプを用いた水生生物に対する簡易毒性試験、ならびに海水魚の病原菌となるビブリオなどに対する抗菌活性試験(ペーパーディスク法)を用い、得られた結果をもとに優先順位を定めた。さらにはHPLCなどを用いた化学プロファイリング分析を行い、含まれる主要な二次代謝産物のパターンを予め把握することによって、頻繁にみかける既知活性物質の再取得を可能な限り避ける工夫(デレプリケーション)を行った。 各種クロマトグラフィー法を用いて、現時点で有望と判断した軟体サンゴ由来の抽出物6種より、活性物質の単離を進めている。また、取得した微生物株については、より適した培養条件の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では以下のI)~V)の研究項目に3年をかけて取り組む計画となっている。Ⅰ)採集した軟体サンゴホロビオントから抽出物を調製する。Ⅱ)各種評価試験を用いて抽出物のスクリーニングを行う。Ⅲ)各種クロマトグラフィー法を用いて選抜抽出物より活性物質を単離し、機器分析法によって化学構造を決定する。Ⅳ)類縁体を用いて構造活性相関の検討を行う。V)小型水槽を用いて養殖魚に対する防除効果を評価する。 初年度においては主にI)およびII)の項目に着手した。沖縄県本島および周辺離島で軟体サンゴの採集を行った。その結果、現在までに20種を超える個体を取得した。調製した抽出物について、スクリーニング評価および化学プロファイリング分析を行い、そのうちの6種を有望サンプルとして選定した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、上記の研究項目III)を主に実施する計画である。取得した活性物質については、NMRやMSなどの各種機器分析法を用いて、逐次化学構造を明らかにしていく。立体構造を決定する際に化学変換を必要とする際は、有機合成の専門家(研究分担者)と協力して実施する。構造解析が終了した後に、純化合物としての毒性および抗菌活性を評価する。 取得した菌株については、化合物生産に適した培養条件を検討した後、大量培養を通じて微生物由来の抽出物を調製する。また、継続したサンプリング(今年度)から新たに得られる軟体サンゴ由来の抽出物についてもスクリーニング評価を行う。着手する候補サンプル数をより増やすことで、化学構造を異にする種々の活性物質の取得を目指す。 最終年度(3年目)には構造活性相関の検討を行い、取得したシード化合物を用いて高次評価(養殖魚を用いた試験)を行う予定である。次のステップアップにつなげるためにも、防除活性に必要な化学構造に関する知見を得ることが最優先となる。
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