研究課題/領域番号 |
22K05829
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 浩司 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (40250500)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ヒスタミン食中毒 / ヒスタミン / ポリフェノール / ヒスチジン脱炭酸酵素 / 食品微生物制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,遊離ヒスチジン含量の多い水産食品を起因とするヒスタミン食中毒のリスクを除去するため,① 細菌由来のヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)に対してヒスタミン生成活性を阻害する成分(ポリフェノール類を想定)を特定し,② ヒスチジン脱炭酸酵素の阻害様式を調べ,③ 緑茶や海藻の抽出物を活用した「水産食品におけるヒスタミン生成菌の制御ならびにヒスタミン蓄積抑制技術の確立 」を目指すものである。
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研究実績の概要 |
前年度に42種類の海藻メタノール抽出物のヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)阻害の有無をスクリーニングした結果,紅藻類のアカバおよびカレキグサにHDC阻害の可能性が見出されたため,アカバおよびカレキグサ抽出物のHDC阻害効果について定量的に調べた結果,濃度依存的な阻害効果が認められ,1mg/mlアカバおよび1mg/mlカレキグサ抽出物の添加によってヒスタミン産生量が非添加の場合と比較して36%および46%減少することが明らかになった。しかし,この阻害効果は緑茶由来のポリフェーノールであるエピガロカテキンガーレト(EGCg)と比較すると極めて弱いものであることも判明した。そこで,HDC阻害効果の強い緑茶由来のポリフェーノール類に着目し,エピカテキン(EC),エピカテキンガレート(EGCg),EGCgをヒスタミン産生菌体に直接作用させた時の細胞表層および細胞内酵素への影響を検討した。その結果,緑茶由来ポリフェーノール類は,菌体の凝集と外膜損傷を引き起こすが,細胞膜の損傷までは強く誘引せず,また細胞内のエステラーゼ活性や呼吸活性にもほとんど影響がなかったことから,菌体外から作用させた緑茶由来ポリフェーノール類が細胞内に取り込まれ,細胞内においてHDCに対して直接作用して,阻害していないと考えられた。次に,緑茶由来ポリフェーノール類をヒスタミン産生菌の細胞表層に吸着させ,余剰のポリフェーノール類を除去した細胞からのヒスタミン産生量を調べ,ECgとEGCgを吸着させた細胞によるヒスタミン産生がポリフェーノール非処理の場合より少なくなることを見出した。したがって,ポリフェーノール類処理によるヒスタミン産生の減少は,ヒスチジンの取り込みやヒスタミン放出に関与する膜タンパク質に対してポリフェーノール類が結合し,正常な機能が発揮されなくなったことに起因する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時計画した研究内容について概ね実施し,予想していた通りの結果が得られている。したがって,現在までの研究進捗状況は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
申請時に計画した研究内容に準じて今後も実験を実施する,すなわち食品におけるポリフェーノール類によるヒスタミン産生抑制効果について検討し,得られた成果から本研究の最終目標に最も適した成果が得られるよう進展させる。
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