研究課題/領域番号 |
22K05831
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
筒井 直昭 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (00643785)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | インスリン様ペプチド / 生殖腺 / クルマエビ / インスリンファミリー |
研究開始時の研究の概要 |
世界的な養殖対象であるクルマエビ類の雄性機能の制御機構を理解することは、今後それらの生産を様々な環境下で持続的に行うために不可欠である。しかし、現状では不明な点が数多く残されている。本研究では、水産重要種のクルマエビを用い、雄の生殖腺で特徴的な発現様式を示す3種類のインスリン様ペプチドを制御の要と考え、精原細胞の増殖や精子形成などの雄性機能がどのように調節されているのかを明らかにする。その知見を基に、全世界で年間生産量600万トンにも達するクルマエビ類の生産の高度化と持続性に資する、雄の成熟誘導技術の開発へと繋げる。
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研究実績の概要 |
クルマエビの雄性生殖腺のうち、精巣が主な発現部位であるインスリン様ペプチドMaj-ILP2と、輸精管が主な発現部位であるMaj-GONの機能解析を行った。 まず、昨年度に引き続いて稚エビに対する二本鎖RNAの投与を試みた。投与頻度は昨年度と同様に週1回としたが、期間は3週間から5週間に延長した。雌雄ごとにdsILP-2の投与群と、緑色蛍光タンパク質遺伝子に対するdsRNAを投与した対照群とを比較した結果、全長、体重、肥満度のいずれにもMaj-ILP2遺伝子の抑制による影響は観察されなかった。一方、dsGONの投与群と対照群との比較では、全長については差がなかったものの、体重については雄のdsGONの投与群で低下傾向が、肥満度については有意な低下がみられた。雌においては全長、体重、肥満度のいずれにも有意な差はなかった。これらのことから、稚エビ期の雄ではMaj-GONが成長の制御に関与する可能性が考えられた。効果の雌雄差の意味するところは、次年度以降に検討する必要がある。 また、有性生殖腺を複数の部位に分け、Maj-GONの詳細な発現部位を調べた結果、輸精管のうち精巣直後の近位輸精管とそれに続く中位輸精管の開始部に発現が限定することが分かった。精巣でのMaj-GONの発現量が個体により大きく異なる結果を以前に得ていたが、これはサンプリング部位のばらつきに起因し、生理的条件によるものではないと推測された。 加えて、卵巣が主な発現部位であるMaj-ILP1の機能解析の一環として、肝膵臓で発現する新規の卵黄タンパク質遺伝子(Maj-Vg2)の特徴づけを行うとともに、Maj-ILP1が新規Maj-Vg2および既知のMaj-Vg1という2種の卵黄タンパク質遺伝子の発現に影響することを、肝膵臓と卵巣の培養系を用いて示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機能未知であったクルマエビのインスリン様ペプチドのうち、Maj-GONについては稚エビ期の成長に関わる可能性を、Maj-ILP1については亜成体期の卵黄タンパク質遺伝子の発現に関わる可能性を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
輸精管の機能形態学的な検討例は少ないので、Maj-GONを切り口として解析を試みる。また、トランスクリプトーム解析等を通じてペプチドの受容体の探索も試みることなどにより、クルマエビのインスリン様ペプチドが司る生体調節機構を明らかにする。
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