研究課題/領域番号 |
22K05835
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
田角 聡志 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (90359646)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 寄生虫 / 遺伝子編集 / 宿主特異性 / 魚類 / 単生類 / 糖鎖 |
研究開始時の研究の概要 |
我々のこれまでの予備的研究結果、および他研究グループの先行研究結果から、トラフグの鰓に寄生する単生類、Heterobothrium okamotoiの宿主特異性は、寄生組織である鰓の表面に存在するL-フコースによってもたらされているのではないかと考えられた。また、ブリ類に寄生する同じく単生類、Benedenia seriolaeおよびNeobenedenia girellaeに関しても、L-フコースの関与が示唆されている。本研究は、魚類寄生虫の中でも単生類の宿主特異性の分子機構に着目し、特に糖鎖が宿主認識に広く関与しているのかどうかについてを解明することを目指すものである。
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研究実績の概要 |
alpha-1,3-fucosyltransferase 7(FUT7)遺伝子の機能を欠失したクサフグの作出を継続して行った。まず、昨年度変異導入の確認された1個体のオス(F1)由来凍結保存精子と、今年度得られた、変異導入の確認された1個体のメス(F1)由来の卵を用いて人工授精を行い、F2世代を得た。これらの一部について、変異導入を調べたところ、用いたメス(F1)の片側のアリルは6塩基欠損の、in frame欠損をもつことが分かった。この欠損が機能喪失へと繋がるのかについては、今のところ定かではない。用いたメス(F1)については、フレームシフトが起こりそうな配列であった。このことから、今回作出したF2については、FUT7の機能が失われていない可能性があることが分かった。 次に、両アリルに変異をもつ変異体(バイアレリック変異体)を少しでも短い時間で得たいと考え、2021年に予め作成しておいた、2019年F0家系のメスと2020年F1家系のオス(前述と同一個体)とを掛け合わせた家系を作出し、実験を行った。変異導入を調べたところ、全個体の約10%がバイアレリック変異体であった。この家系を用いてエラムシの感染実験を行ったところ、バイアレリック変異体、ヘテロ変異体、野生型のいずれの場合も、着定虫体数に統計的有意な差はみられなかった。そこで、同一個体群を用いて、鰓におけるL-フコースの存在様式を調べたが、やはり全ての個体で大きな差はみられなかった。以上の結果より、FUT7遺伝子一つの機能を失わせただけでは、L-フコースの転移には影響を与えないことが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度作出したF2家系の片側のアリルがin frame変異をもつなど、予期しえなかった誤算も生じたが、今後このF2世代同士を掛けあわせたF3世代を作出することによって、両アリルに機能を喪失させるようなバイアレリック変異体を来年度には作出することが可能なため、研究の進捗に大きな遅れは生じないと考えられる。また、昨年度作出しておいた、2019年F0家系のメスと2020年F1家系のオスとを掛け合わせた家系を用いて実験結果から、バイアレリック変異体を得ることができた。この変異体について調べた結果より、FUT7遺伝子一つの機能を失わせるだけでは、L-フコースの転移を大きく阻害することができなさそうであることも分かった。本実験結果は、一見するとうまくゆかなかったように思えるが、阻害剤使用の検討など、他のアプローチをとることが有益であるだろうことが分かったため、必ずしも失敗であるとはいえないだろう。本研究は、変異を導入した海産魚を作出するという、時間的にも技術的にも難しい課題に挑戦しようとするところが大きいが、今年度の結果に基づいて、以降の研究計画の方向性も見えてきた。以上から、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、今年度作出したF2世代のうち、F1オスのアリルと野生型のアリルをもつヘテロ変異体のスクリーニングを行い、再来年度のF3世代作出に備える。また、今年度予備的な実験によって、鰓におけるL-フコースの存在量を減少させ得るような、阻害剤の候補をすでに見出している。今年度は、この試薬を投与したクサフグを用いて、鰓におけるL-フコースの存在様式を調べたり、感染実験を行うことで、L-フコースとエラムシの脱落との関連をさらに追及する。 加えて、今年度はほとんど手を付けられなかった、ブリ類のハダムシの実験も順次開始してゆく。可能であれば、ハダムシへの感受性が極めて高いとされる、ヒレナガカンパチのサンプルを入手し、解析を進めてゆく。
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