研究課題/領域番号 |
22K05836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
濱田 季之 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (40321799)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 成人T細胞白血病 / 海洋生物 / ジャノメアメフラシ / 海綿 / 新規化合物 / 抗がん剤 / 構造決定 / 作用機序 |
研究開始時の研究の概要 |
難治性疾患のひとつである成人T細胞白血病(ATL)の治療のために、これまでの抗がん剤と異なる作用メカニズムをもつ新規抗がん剤の開発が求められている。 本研究は、申請者らの発見した薬剤耐性克服活性をもつ新規抗がん剤ヒプトシドの探索過程で用いた手法を用いて、主に鹿児島以南の海洋生物の中からATLに対する新規リード化合物を開発することを目的とする。 具体的研究項目は、①海洋生物からの新規抗ATL化合物の単離・構造決定、②最適化合物の創製、および③作用機序の解明、の3つである。本研究によって、ATLおよび様々ながんの治療方法が改善すること、また、多剤耐性を克服しうる多くの薬剤が開発することを期待する。
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研究実績の概要 |
成人T細胞白血病(ATL)の治療のために、これまでとは異なる作用メカニズムを持つ新規抗がん剤の開発が求められている。本研究は、申請者らの発見した薬剤耐性克服活性をもつ新規抗がん剤ヒプトシドの探索過程で用いた手法を用いて、主に鹿児島以南の海洋生物の中からATLに対する新規リード化合物を開発することを目的とする。 今年度は、沖縄産ジャノメアメフラシおよび鹿児島県竹島産Agelas属海綿からのリード化合物の探索を行った。ジャノメアメフラシのメタノール抽出物を二層分配法や各種クロマトグラフィー法を駆使し、分離・精製を行い、31種の化合物を単離した。そのうち21種については、主に核磁気共鳴(NMR)分光法を用いて化学構造を決定した。結果として、6種の新規化合物を含む21種の化合物を得ることができた。同様の方法を用いて、Agelas属海綿から5種の既知化合物を単離・構造決定した。上記26種の化合物について、ATL患者由来のがん細胞株S1T細胞に対する細胞傷害活性を調べたところ、4種にやや強い活性、12種に中程度の活性が見られた。今後、更なる海洋生物由来の生物活性物質を探索するとともに、生物学的試験の準備を行なっていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、ジャノメアメフラシと海綿から26種の化合物を単離・構造決定し、そのうち6種が新規化合物であった。また、31種のうち、4種の化合物がS1T細胞(ATL患者由来のがん細胞株)に対して、やや強い細胞傷害活性を示し、12種が中程度の活性を示した。これらの結果は、本研究の目的である「海綿生物由来の抗ATLリード化合物の開発」に向けて、とても有意義な結果である。本研究の一部については、国際学術雑誌Tetrahedronに採択され、掲載された。また、第66回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会などで口頭発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今回単離されたジャノメアメフラシ由来の化合物のうち、構造未決定の10種の化合物の平面構造と立体化学について検討する。また、同生物から更に10種程度の化合物を単離・構造決定する。単離した化合物の絶対配置も決定する。 次に、今回S1T細胞に対して強い細胞傷害活性が見られた化合物は、その作用機序、抗腫瘍効果、毒性プロファイルを解明するための追加研究が必要であるので、活性化 T 細胞 (正常細胞)との毒性の比較、S1T細胞以外のATL細胞や多剤耐性株への傷害活性試験を行うことで抗腫瘍特性の解明をしていきたい。また、ウェスタンブロット法やRT-PCR法を用いたcaspaseやPARPなどのアポトーシス関連たんぱく質および遺伝子の発現試験やDNAヒストグラムを用いた細胞周期試験により、アポトーシス誘導メカニズムの解明も検討していく。
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