研究課題/領域番号 |
22K05840
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
湯浅 光貴 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 任期付研究員 (00898984)
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研究分担者 |
紫加田 知幸 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (40603048)
内田 肇 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 研究員 (50805132)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 有害赤潮 / 魚毒性 / アレキサンドリウム |
研究開始時の研究の概要 |
海産渦鞭毛藻アレキサンドリウム属は、麻痺性貝毒の原因生物として世界中で広く認知されている。また、一部の種は魚毒性を有することが知られており、近年、国内では本属の高密度化(赤潮)による魚類養殖業に被害が発生している。被害軽減のための対策を講じる上で、本属の魚毒性について情報を蓄積することが喫緊の課題である。最近、申請者らは、魚毒物質が特定されていない他の有害微細藻とは異なり、本属の魚毒物質は活性を維持したまま凍結保存可能で、熱にも耐える性質を有し、化学的に極めて安定な化合物であることを見出した。そこで本研究では、最先端の分析化学的アプローチにより、アレキサンドリウム属の魚毒物質を特定する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、有害赤潮原因プランクトンAlexandrium leeiの魚毒成分を分画精製するために、A. leei培養株の大量培養系を構築した。A. leei培養液10 Lを通気した状態で培養した結果、安定的に増殖することがわかり、非通気静置培養よりも毒性が高くなることが明らかとなった。大量培養後、凍結融解したA. leei培養液を用いて、令和4年度に確立した方法で分画精製を行った。試料を疎水性物質を吸着する合成吸着樹脂に通して含水メタノールで分画して乾固した後、蒸留水に溶解した。次にジエチルエーテルと水で液液分配して毒性を有する水層を得た。有毒画分をオクタデシルシリル化(ODS)シリカゲル担体に通して含水メタノールで分画し乾固した後、滅菌海水へ希釈した試料をヒメダカおよびブリ稚魚へ暴露した。その結果、一部の分画液でヒメダカおよびブリ稚魚への強い毒性を確認した。さらに精製を進めるため、分画精製した有毒画分をメタクリレート系ゲル濾過担体に通して100%メタノールで分画した。その結果、更なる分画に成功し、一部の画分でヒメダカやRD(ヒト横紋筋肉種)培養細胞、シオミズツボワムシに対する強い毒性を確認した。 以上により、A. leeiの有する魚毒成分を液液分配や固相抽出、ゲル濾過クロマトグラフィーで分画精製できることを確認し、適切な担体を選定することができた。また、ヒメダカだけでなくブリでも同様の分画液でへい死が確認されたことから、養殖対象魚に対する魚毒成分を精製できていると考えられる。また、分画精製した有毒画分は魚類だけでなく、RD細胞やシオミズツボワムシに対しても毒性を示すことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、対象プランクトンの大量培養系を確立し、複数の精製段階を経ることができている。また、毒性評価をヒメダカだけでなく、養殖対象魚のブリでも実施しており、両魚種で同様の結果を得ることができている。以上の根拠から概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は令和5年度までに確立した分画手法によってA. leeiの魚毒含有画分を大量に蓄積し、高速液体クロマトグラフィー等に供して最終精製を行う。最終精製品の魚毒性をヒメダカ等へ暴露して評価する。また、A. leeiの魚毒化合物の最終精製品を、LC/MS/MS等の機器分析に供して魚毒化合物の解析を試みる。
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