研究課題/領域番号 |
22K05849
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石田 章 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50346376)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 食卓環境 / 家庭環境 / 食育 / 世代間連鎖 / 共分散構造分析 / 食行動 / 食意識 / 食生活 / 貧困 / 子ども期 |
研究開始時の研究の概要 |
先行研究によって,子ども期の経済的困窮と成人期の社会経済的地位の低さとの関連性が指摘されている。しかし,子ども期の経済状況と成人期の食生活との関連性について論じた研究は限られており,子どもの貧困が食生活に及ぼす長期的影響に関しては明らかにされていない。さらに,様々な支援策が子どもの貧困に起因する食生活面での負の影響をどの程度緩和するかについても検証されていない。よって,1)子ども期の経済的困窮が成人後の食行動に影響を及ぼすのか,2)もしそうならば,どのような経路を通じて影響を及ぼすのか,3)いかなる経路にどのような働きかけを行うことが負の連鎖を断ち切るうえで効果的なのか,を明らかにする。
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研究実績の概要 |
子ども期の経済状況と成人期の食行動や食育意識との関連性を論じた研究は極めて限られている。そこで今年度は,子ども期における家庭の経済状況が成人後の食生活・食卓環境や食に関する子どもへの働きかけ(食育)行動に及ぼす影響を定量的に明らかにすることを目的とした。小学校3年生から6年生の子どもを有する既婚の母親300人を対象に実施したWebアンケート調査の個票データを用いて,カテゴリカル共分散構造分析による定量分析を行った結果,以下のことが明らかとなった。 1)子ども期における親との離別・死別,父親の失業や大病などのショックが子ども期における家庭の経済状況に悪影響を及ぼす。 2)子ども期における家庭の経済状況が現在(成人後)の社会経済的地位を通じて母親自身(現在)の食生活と食卓環境,食に関する子どもへの働きかけ行動に影響を及ぼす。 3)子ども期における家庭の経済状況が当時の食生活と食卓環境に影響を及ぼし,そのことが母親となった現在の食生活や食卓環境のみならず,食に関する子どもへの働きかけ行動にも影響を及ぼす。 4)上述した1)から3)の指摘も勘案すると,子ども期における親の離死別や父親の失業・大病などのショックが母親となった現在でも,自らの食行動や食に関する子どもへの働きかけ行動に少なからず影響が残る。 5)子ども期における家庭の経済状況が成人後の食行動・食育行動に及ぼす間接効果を比較すると,自身の食生活と食卓環境および食に関する子どもへの働きかけ行動のいずれにおいても,意外にも「子ども期における経済状況」から「現在の社会経済的地位」よりも「子ども期の食生活」や「子ども期の食卓環境」を通じた影響の方が相対的に大きいことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
子ども期の経済状況が成人後の食行動や食育行動に及ぼす影響について,独自調査のデータを用いて定量的に分析を行い,研究成果を共著本や学術誌に公表することができた。よって,研究は当初の計画以上に順調に進捗しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は,子ども期の経済状況が及ぼす影響を中心に検討を行った。今年度は,子ども期の経済状況以外の要因(例えば親子関係や友人関係など),成人期の食行動・食意識に及ぼす影響について,現在の社会経済的地位あるいは経済状況以外の要因なども含めて検討を行う。さらに,インドネシアおよびマレーシアでの調査実施に向けて,調査票の作成等の準備を行う。
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