研究課題/領域番号 |
22K05853
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
草苅 仁 高崎健康福祉大学, 農学部, 教授 (40312863)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 食農連携 / 環境対策 / タダ乗り / 適正価格 / 家計 |
研究開始時の研究の概要 |
日本が持続可能な食と農の連携を実現するためには、環境対策を内包した連携システムの構築が不可欠であり、家計が環境対策を付加価値として評価した上で、その評価を実際の購買行動に反映させる必要がある。 本研究では、①環境対策について家計のタダ乗りを抑止するための方策と、②家計が環境対策を付加価値として購買行動に反映させるための条件を検討して、③持続可能な食農連携システムの構築に向けた政策のあり方を提示する。以上により、需要サイドから持続可能な食農連携システムの構築に向けた政策のあり方を提言する。
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研究実績の概要 |
日本が持続可能な食と農の連携を実現するためには、環境負荷を軽減するための環境対策を内包した連携システムの構築が不可欠である。そのため、消費主体としての家計に求められる役割は、家計が環境対策を付加価値として評価した上で、その評価を実際の購買行動に反映させることである。本研究の目的は、①環境対策について家計のタダ乗りを抑止するための方策と、②家計が環境対策を付加価値として購買行動に反映させるための条件を検討して、③持続可能な食農連携システムの構築に向けた政策のあり方を提言することである。 初年度の令和4年度は、①環境対策に対して家計のタダ乗りを抑止するための動機付けについて考察した。その結果、タダ乗りを防ぎ、温暖化問題を先送りしないための理論的な条件は、私的財としての差別化と外部性の内部化であり、ラベリングによる差別化(登録認定機関による認証)などが有効であることを示した。ただし、こうした認定に要する生産者の手間や料金などのコストが問題視されてきた。 2年目の令和5年度は、①の考察を踏まえて、②家計が環境対策を付加価値として評価した上で、その評価を実際の購買行動に反映させるための条件を検討した。有機栽培などの低投入栽培は労働の集約化を伴わざるを得ないためにコスト増となるが、生産や認証に伴うコストの増加分を回収可能な価格が市場で形成されにくいことが流通量の停滞を招いている。そのため、有機農産物の流通事業体は生産者や消費者を交えた当事者による協議で価格を決めている場合が多く、協議の指標となるのは再生産可能な価格水準であり、これを「適正価格」と称してきた。この「適正価格」と市場価格との差を、ラベリングが機能して「まがいもの」の混入を防止し、安定的な取引を達成するための最小コストとして定義した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の交付申請書における令和4~5年度の研究実施計画は、①環境対策に対して家計のタダ乗りを抑止するための方策を考察する(令和4年度)、②家計が環境対策を付加価値として評価するとともに、購買行動に反映させるための条件を検討する(令和5年度)であり、「研究実績の概要」に記載したとおり、ほぼ計画どおりの進捗状況であることから、「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、①環境対策に対して家計のタダ乗りを抑止するための方策(令和4年度)と、②家計が環境対策を付加価値として評価するとともに、購買行動に反映させるための条件(令和5年度)を検討したが、最終年度の令和6年度は、①、②の分析結果を踏まえて政策的なインプリケーションを検討する予定である。 食料自給率が停滞している日本では、急速な円安の進展が食料価格の高騰を招き、消費者の購買力は低下している状況にあるため、②家計が環境対策を付加価値として評価し、自らの購買行動に反映させることがより困難になってる。こうした最近の状況も考慮しながら、③需要サイドから持続可能な食農連携システムの構築に向けた政策のあり方を提言する予定である。
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