研究課題/領域番号 |
22K05858
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
森岡 涼子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業情報研究センター, 上級研究員 (90415323)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 温暖化 / 国際貿易 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、温暖化との関連の下で農作物の国際需要を算出するモデルを開発することを目的として、過去データを用いた国別属性データと国際貿易データをむすぶ数理モデルの作成、温暖化シナリオに基づき算出した国際貿易データに対する分析とモデル評価、の2つのステップで研究を実施する。国際市場における農作物品目別の需要と供給の乖離をリスク指標として提示し、温暖化シナリオ別にリスクマップを作成する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、国内外気象データの収集および活用が進まない生産量データをより広くデータ解析に活用するための追加手法の開発を行った。国内外気象データの収集では、各農作物の生育モデルが必要とする気象要素と期間を満たす国内外の気象データを収集した。また、これまでCMIP5ベースの温暖化シナリオ別気象値を用いていたが、CMIP6ベースの気象値を収集しなおし、気象データの温暖化シナリオ数を2から3に増やした。追加手法の開発では生産量と位置情報の紐づけが無い、あるいは間違えているケースも解析に取り入れられるようにするための追加モジュールを開発した。位置情報は生育モデルに必須の気象データと生産量を結ぶ重要な情報であるが、気象データと紐づけられる程度の解像度よりも低い単位で記録されてきたケースが数多くあり、生産量データは蓄積しているものの活用に至っていなかった。国単位での生産量を予測する際に各統計や地理データに基づいた補正はコストが高く不向きであるため、生育モデルの学習に、実際の気象と乖離した気象の値を学習に使っていることを検出し出力を再計算する処理を追加した。過去7年分のデータに対し予測計算をした結果、複数の地点と農作物のケースで生産量の予測精度を改善することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
温暖化シナリオ別の農作物品目別シミュレーションの数値計算法の基盤は2022年度に開発したが、貿易構造にかかわる温暖化シナリオはCMIP6ベースであるにも関わらず、温暖化シナリオ別気象値がCMIP5ベースであることが課題として残っている状態であった。2023年度は温暖化シナリオと気象値をともにCMIP6ベースに統一して低コストに収集するプログラムを開発した。また、そのCMIP6ベースの気象値を取得するにあたり必要な位置情報の解像度や精度に問題がある場合も学習データとしての活用を可能とする機械学習法を開発し、データ蓄積の少ない農作物品目も解析対象とすることを可能にした。全国1キロメッシュの気象データと海外の気象データ収集にあたり大容量データを管理する環境を整えるのに時間を要したが、地域単位のデータを有効に活用した生育モデルに基づくボトムアップ型のシミュレーションと国際貿易をつなぐ基盤を作ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、気象値・生産量・温暖化シナリオの過去の実績値の更新および、農作物生産地情報が充実している日本国内の各農作物品目の温暖化シナリオ別生産量を推計し、国際貿易データの将来推計への接続を行う。海外の農作物生産国のうち生育モデル計算に必要な基本気象要素が揃っている国については主要農作物を中心に生産量を推計し、温暖化シナリオ別に国際貿易に与える影響を定量化する。
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