研究課題/領域番号 |
22K05862
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
|
研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
河野 洋一 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (80708404)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 中途採用者 / 人的資源管理 / 人材育成 / キャリア形成 / 従業員能力 / 経営者能力 / キャリアデザイン / 能力育成 / 農業法人 |
研究開始時の研究の概要 |
特に、農業法人において、雇用によって就農している従業員の将来設計として、独立して就農を目指す「独立志向」、特定の農業法人への長期的な雇用を希望する「従業員志向」、農業法人での経験をキャリアパスのひとつと考える「転職志向」などが想定されるが、これら属性の多様性を考慮すれば、経営者を対象としたもの以上の多様な能力育成事業の展開が望まれる。そこで本研究では、農業の従業員が有する固有の従業員能力とキャリアデザインおよび変化の解明、また、能力育成事業の従業員能力への影響等の評価から、農業法人の従業員におけるキャリアデザインに応じた能力育成の方向性について解明する。
|
研究実績の概要 |
新規就農者調査によれば、雇用型の農業法人を中心に、農業分野における従業員の特徴として、前職が農業以外である就農者が2022年時において7,210名であり、その他、自営農業、農業法人、農業以外の自営業、学生、家事育児その他の合計6,740を超える状況にあることがわかる。これらの傾向は同年以前においても同様の傾向を見せていることいから、農業においては、中途採用者の雇用が主な人材確保のパターンであることがわかる。 これらの状況を前提に、2023年度においては、これまで農業分野の雇用の中心的な存在であった中途採用者における経営内での活用状況と人材育成施策の特徴の解明を目的とし、十勝地域内で営農する農業法人4社の状況整理を実施した。結果から,特に前職経験が11年以上の中途採用者への人材育成施策および組織での活用方法の特徴については,以下の3点が明らかになった。 第1に,専門的能力の他組織構成員への指導役や,当該人材の専門分野に係る外部との連絡調整役などを担当させることで,中途採用者がもつ固有の能力を農業分野に適応させる取り組みを実施している。第2に,農作業の基本的な知識・技術の獲得のため,現場作業を短期間経験させることで,他の従業員との農業に係わる知識・技術の乖離を防いでいる。第3に,これらの人材育成施策をもとに,当該組織の経営戦略の変更や規模拡大などの事業展開の際の経営者のサポート役として活躍させている,の3点である。 つまり,農業法人における中途採用者の人材育成施策および組織内での活用の方向性として,前職経験を有する中途採用者は,農業法人で不足している知識・技術を補完する人材として雇用することで,組織変革や業務効率化に活用していることがわかった。また,中途採用者の安定的な雇用のためには,他の従業員との雇用条件の違いや複数回の面談の実施が重要な要因のひとつであろう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
他地域に比べて相対的に大規模な農業経営が展開されている北海道および十勝地域における農業法人等に雇用される従業員に関する調査・研究等については、研究計画に準じた順調な調査研究の成果を学術会議や学会誌等で公開することが出来た。 一方、組織的な営農を目指した新規就農者や新たに設立された農業法人等については、2023年度後半から断続的に実施しており、研究期間内に当初想定していた地域や営農類型等での調査等を終える予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度より実施している静岡県における組織的な営農を目指した新規就農者への調査を継続して実施することで、組織構成員の役割分担やキャリアデザインについて評価する。また、同時並行的に北海道内における酪農業を主とした新規就農者および農業法人の従業員に対する調査を継続的に実施することで、従業員や組織構成員のキャリアデザインの変化を明らかにする。 これら調査・研究の成果については、日本農業経営学会、実践総合農学会等での研究報告と学会誌投稿を目指している。
|