研究課題/領域番号 |
22K05864
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
田代 洋一 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 名誉教授 (00092651)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 組織再編 / 1県1JA / 正組当たり営農指導赤字額 / 事業外純収益 / 集落営農法人 / 農協自己改革 / 集出荷施設 / 農協 / 農協事業外収益 / 営農指導事業赤字額 / 人・農地プラン / 地域計画 / 総合農協 / 農協合併 / ビジネスモデル / 支店統廃合 / 1県1農協 |
研究開始時の研究の概要 |
2020年末以降の総合農協は金融事業等の大幅な収益減により、これまでの金融事業依存型ビジネスモデルからの脱却を求められている。その問題に対し、多くの農協は合併、支店統廃合等の組織再編で乗り切ろうとしているが、そのことは農業事業基軸のビジネスモデルへのシフトを図るうえで必ずしも効果的ではない。 本研究は、主として組織再編をおこなった農協を事例として、組織再編の理念、目的、実態、成果等を比較分析することを通じて、従来型ビジネスモデルからの脱却に資する組織再編等のあり方を分析する。とくに営農センター、営農指導員配置等に調査の重点を置く。
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研究実績の概要 |
JA香川県、JAしまね、JAふくいの1県1JAの事例、JA愛知みなみ、JA富山県中央会、JA石川県中央会等の単協及び中央会等の等のヒアリングを実施し、主として2017年度に科学研究費で調査した事例の追跡等を行い、貴重なデータを集積した。また愛媛県伊方町、伊那市、盛岡市の集落営農法人の追跡調査も行い、地域における農業協同の推移を把握した。これらの調査結果のとりまとめは進行中であるが、中間報告として、『農業協同組合新聞』に、JA香川県、伊方町等とともに、昨年度調査の安曇野、三次市の集落営農法人、JAおきなわについて行った。 そこから、農協「自己改革」が支店統廃合・広域合併の段階から集出荷施設の統廃合の段階に突き進んでおり、営農指導事業赤字額がわずかながら削減傾向を示していることを確認した。また全国統計から、事業外純収益(事業外利益-事業外費用)が営農指導事業赤字額の9割に相当するようになってることを確認した。 以上を踏まえ、全国単協のディスクロージャー誌、総代会資料より北海道を除く単協の91.8%についてデータを収集し、正組合員一人当たり営農指導事業赤字額と事業外純収益の都府県別平均値との相関を計算し、R2=-0.563という比較的高い結果を得た。また1県1JAの事例が、両指標の全国平均額(正組1人当たり営農指導事業赤字額2.4万円、営農指導事業赤字額/事業外純収益=90.0%)の近辺に分布し、1県1JA化が多くの府県にとって起こりうる現象であることを推測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
農協のビジネスモデル改革をめぐって、組織再編と営農指導事業改革を通じる農産物販売額がキーポイントになるが、前者については事例調査、後者については単協の部門別損益計算書の集計分析を通じて、着実にデータを集積できており、分析に向けての準備は整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
JA山口県、宮崎県農協の1県1JA化等、集落営農法人の事例調査(特に伊那市、駒ケ根市等の事例)、全国単協の部門別損益計算書の集計・分析を継続しつつ、テーマに関する取りまとめを行う。論文「総合農協のビジネスモデル改革と部門別損益」を取りまとめ『農業・農協問題研究』に掲載することをはじめとして、いくつかの調査報告、論文に取りまとめ、食料・農業・農村基本法改正に関連する論文等とともに年度内あるいは次年度に一書に取りまとめ公刊する予定である。
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