研究課題/領域番号 |
22K05872
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
中村 勝則 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315605)
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研究分担者 |
角田 毅 東北大学, 農学研究科, 教授 (60355261)
椿 真一 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (20404204)
長濱 健一郎 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (50442009)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 遊休農地 / 市場動機 / 地域維持動機 / 共同出資 / 自然エネルギー / 潜在的地域資源 / 地域資源 / 農業法人 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は農業法人による地域資源開発行動の全国的状況と動機、成立条件を明らかにすることである。2022年度はアンケートにより農業法人による地域資源開発の全体動向を把握する。2023、24年度は農業法人による地域資源開発の詳細な実態について聞き取り調査をおこなう。2025年度は農業法人による地域資源開発における、(1)類型、(2)経営戦略的意義、(3)地域経済に及ぼす効果、(4)制度的課題の各論について分析を行うとともに全体を取りまとめる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、農業法人による遊休化した、あるいは潜在的な農村地域資源の開発行動について、その実態と動機および成立条件について明らかにすることである。 今年度は地域において遊休化した農地を借り入れて活用している大規模水田作経営として、秋田県由利本荘市の有限会社折林ファーム、秋田県男鹿市の株式会社ベジリンクあきた男鹿、秋田県潟上市の株式会社秋田食産、青森県黒石市の株式会社アグリーンハートを対象に農地再生利用の実態に関して聞き取り調査を行った。その結果、以下の示唆を得た。 第一に、遊休化した農地を借り入れ再生する動機として、(1)調達コストを抑制しつつ経営耕地面積の拡大を図ること、(2)周年雇用を実現するための経営の労働受容力を強化すること、(3)地域における法人のイメージアップを図ることで「操業の社会的了解」を獲得すること、(4)有機農産物の作付けにより高付加価値化販売に結びつけること。これらは市場動機となるが、それだけでなく第二に、農業経営者には所在地の地域社会を維持しようとする「地域維持動機」が存在し、それは(1)当該農業経営は自社の経営耕地拡大を志向するだけでなく、所在地域周辺の農業経営体との連携を行う傾向にあること、(2)所在地域周辺のリタイヤした農業従事者等を中心に臨時雇用を積極的に行い、地域内に雇用の場を創出しようとする傾向にあることに表れている。 このように、農業経営が当然有するであろう市場動機以外に、地域維持動機が経営行動を一定程度規定しているのではないかと考えられ、それは農業経営者が地域の生活者でもあることに起因すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
農業法人による地域資源開発の事例調査を概ね予定通り進めることができたためである。かつ青森県黒石市においては共同調査を実施することにより研究メンバーで情報共有が一定程度できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。 これまで開発対象となる地域資源のうち、農地資源の開発にかかる事例を中心としているが、今後は地域の人的資源や無形資源の顕在化を進めている事例についても調査を実施していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、東北地域の農業法人を中心としつつ、同地域以外の事例についても聞き取り調査を進める。農地資源の開発のみならず、地域の人的資源や無形資源の顕在化を進めている事例についても調査対象を検索し、聞き取り調査を実施する。 第二に、事例調査のデータを蓄積しつつ、農業経営が地域資源の開発を行う動機について、市場動機と社会維持動機を統合する理論仮説を構築する。
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