研究課題/領域番号 |
22K05875
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
|
研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
渋谷 往男 (澁谷往男) 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (20557079)
|
研究分担者 |
澤田 守 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, グループ長補佐 (60355469)
山本 淳子 琉球大学, 農学部, 准教授 (00355471)
齋藤 文信 高崎健康福祉大学, 農学部, 准教授 (40425476)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | M&A / 農業法人 / 農業経営 / 継承 / 承継 / デューデリジェンス / 出資 / 農業 / 経営 / 企業参入 |
研究開始時の研究の概要 |
農業の担い手減少は顕著であり、高齢化を勘案すると残された時間は少ない。その対策にもなる農業におけるM&Aは現状では一般企業のM&Aの理論や手法をそのまま農業に適用せざるを得ず、農業固有の特性が十分には反映されていない。この状況が続くと担い手確保方策として可能性があるM&Aが逆に農業の発展を阻害する恐れがある。そこで、農業経営学の側からM&Aについての本格的な研究を開始する。具体的には、①農業M&Aの類型化と分析軸の設定、②農業M&Aの類型別フローと農業固有の特性分析、③農業M&Aのデューデリジェンスおよび支援手法、の3点を解明し、最終的には上記研究課題の解明につなげる。
|
研究実績の概要 |
共同研究の2年度目にあたる2023年度は、前年度に開催した「農業M&A研究会」の取り組みを生かし、図書の刊行に注力した。その結果、2024年2月に筑波書房より「農業法人のM&A-事業継承と経営成長の手法として」を刊行することができた。 第Ⅰ部 日本農業の現状とM&Aの必要性、のパートでは、研究代表の渋谷往男、共同研究者の澤田守氏が執筆した。第Ⅱ部 一般企業のM&Aと農業への適用の必要性のパートでは三菱総研、ファミリーゲノム研究所、公認会計士、弁護士、事業性評価研究所など農業に特化せずに、一般的なM&Aについての豊富な知見を持っている専門家が執筆した。第Ⅲ部 農業の経営継承と経営成長におけるM&Aのパートでは、摂南大学、広島大学、東京農業大学などの農業経営研究者が執筆した。第Ⅳ部 事例にみる農業法人のM&Aの実態のパートでは、農業コンサルタント、農業経営研究者、農業法人経営者などが執筆した。このように、農業分野にとどまらず幅広い知見を集めて書籍化した。 上記図書の第12章の執筆にあたっては、2023年8月に農業法人のM&Aについての事例調査を対面で実施することができた。結果として、農業法人のM&Aについての詳細な経緯を把握することができた。一方で、その内容の公開にあたっては、契約時の取り決めにより秘匿事項が多く、学会発表等による公開が困難な場合が多いこともわかった。この点は、従来の農家の第三者継承とは異なる部分であり、従来の研究方法とは異なるアプローチが必要となることもうかがわれた。 さらに、M&Aに関連付けて、ニュージーランドでの農業法人の経営実態についても調査を実施した。 このように、「農業法人のM&A」という新規性の高い研究テーマにおいて、国内外における現状の位置づけや特徴をインタビュー調査や図書刊行を通じて明らかにするとともに、研究面での今後の方向性を再確認することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は農業法人のM&Aについての事例調査はできたものの、アンケート調査は調査対象や調査項目を慎重に検討する必要があることが明らかになったためである。その一方で、日本農業経営学会大会シンポジウムと連動させた農業法人のM&Aに関する書籍を刊行することができた。当該書籍は、農業経営研究者にとどまらず、多くの支援機関の職員、経営者等の実務家が執筆に参加して、社会的に農業法人のM&Aについての認知度向上に寄与するものであり、次年度に向けた研究環境の整備に大きく寄与したためである。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は本科研の最終年度となるため、農業法人のM&Aについての事例調査をさらに充実させて、一般のM&Aとの比較からその特徴を明らかにすることを目指し、その結果の社会化にも取り組んでいく予定である。具体的には農業の中でもM&Aの対象になりやすいと思われる畜産経営や施設園芸経営を対象とした調査を進めていく。
|