研究課題/領域番号 |
22K05878
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
丸居 篤 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (80412451)
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研究分担者 |
大嶺 聖 長崎大学, 工学研究科, 教授 (60248474)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | プラスチック炭化物 / 土壌改良 / 炭素貯留 / 保水性 / 透水性 |
研究開始時の研究の概要 |
廃プラスチックはマイクロプラスチック問題等の環境汚染を引き起こしており、日本の年間プラスチック廃棄物940万トンのうちリサイクルは25%である。本研究では、廃プラスチックのうち主にPET(ポリエチレンテレフタレート)を炭化し、土壌改良材として応用する技術を提案する。プラスチック炭化物を新たな土壌改良材として土壌劣化地や排水不良農地等に利用できれば、土壌物理性の改善による収量および品質の向上、さらに、炭素貯留による温室効果ガス削減が期待できる。今回は炭化物作製温度と安全性および土壌改良効果の関係性を明らかにし、安価で簡易に炭化物を作製できる方法の提案を行う。
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研究実績の概要 |
近年、土壌改良材として、また、温室効果ガス削減のためにバイオ炭(Biochar)の利用が進んでいる。有機物の増加による土壌微生物の増加、土壌の保水性改善、排水不良地の透水性改善や土壌への炭素貯留が見込めるためである。本研究では、廃プラスチック(とくにポリエチレンテレフタレート;PET)の炭化物による土壌改良効果について検討した。 実験室内のマッフル炉(FUW232PB, ADVANTEC社)においてステンレス製容器内に入れた状態で、900℃および600℃で60分間燃焼し、PET炭化物を作成した。作成した炭は、4~8mm粒形の水田転換畑土壌のみを炭化したもの(粒形粘土炭)、4~8mm粒形の水田転換畑土壌とPETを質量比6:1で混合して作成したもの(粒形炭)、PETのみの炭(PET炭)である。 水田転換畑土壌(作土層)に作成した各PET炭を質量比1%および3%混入し、変水位透水試験を行った。その結果、透水性について乾燥密度0.9g/cm3に調整した試料では大きな変化は見られなかった。乾燥密度1.0g/cm3および1.1g/cm3に調整した試料では炭を入れた全ての試料において透水性が低下した。すなわち、土壌が締め固まった状態(乾燥密度が大きい状態)では透水性が低下することが明らかになった。一方で、質量比で50%以上炭を混入することで大幅な透水性の改善が見られた。 乾燥密度0.85 g/cm3で水田転換畑土壌を充填したポットに各種の炭を混入し、2か月間のコマツナの栽培試験を行った。実験後の透水係数を比較した結果、PET炭を混入したポットでの透水性改善効果が最も大きくなり、900℃で作成した粒形炭においても透水性が改善した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炭化法の確立はおおむね順調である。炭化物の混入が保水性、透水性、微生物活性に与える影響についても順調である。栽培実験にも着手しており順調である。
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今後の研究の推進方策 |
異なる形状のPET炭を作成し、土壌への透水性や保水性への影響を評価する。また、今回明らかとなったPET炭の撥水性について利用方法を検討する。 有機物が不足している砂質土壌における炭混入の影響について理化学性の変化や微生物活性への影響を調査する。引き続き異なる設定で栽培実験を行い、PET炭混入が土壌の理化学性や微生物活性に与える影響を調査する。
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