研究課題/領域番号 |
22K05879
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
武藤 由子 岩手大学, 農学部, 准教授 (30422512)
|
研究分担者 |
渡辺 晋生 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10335151)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 窒素動態 / 水分移動 / 作物生育 / 土壌微生物 |
研究開始時の研究の概要 |
土壌中での窒素炭素動態の理解は,農業の持続的展開や気候変動への適応などの課題解決のために重要であり,そのためには水分溶質移動・土壌微生物活動・植物の根による吸水と養分吸収の相互作用を考慮する必要がある.本研究では,コマツナの根の分布・吸水・窒素吸収および微生物活動が水分移動過程における土中の窒素動態に与える影響を明らかにするための一次元カラム実験を行う.また,根の分布と吸水・窒素吸収が硝化・脱窒の速度定数へ及ぼす影響を考慮し,実験結果を数値モデルで再現する.更に,農地への適用を容易にするため,水分量やEh等の複数の因子に影響される速度定数をATP量から推定することで数値モデルの簡易化を目指す.
|
研究実績の概要 |
土壌中での窒素炭素動態の理解は,農業の持続的展開や気候変動への適応などの課題解決のために重要であり,そのためには水分溶質移動・土壌微生物活動・植物の根による吸水と養分吸収の相互作用を考慮する必要がある.本研究では,コマツナの根の分布・吸水・窒素吸収および微生物活動が水分移動過程における土中の窒素動態に与える影響を明らかにするための一次元カラム実験を行っている.2023年度は,予定通り2022年度に得られた新たな知見について詳細に検証するための実験を行った.実験の結果,根による吸水に伴い土壌水分量が低下すると水ストレスにより吸水が抑制された.また,吸水量に対する硝酸態窒素の吸収量(根による硝酸態窒素の吸収濃度)をコマツナ体内の全窒素量の変化から求めたところ,水ストレスを受けた場合にはおよそ2割低下した.根による窒素吸収量の予測には,水ストレスの有無を考慮する必要があることが示された.さらに,根による吸水速度と硝酸態窒素の吸収濃度の関係を調べるため,日射量の異なる条件(42, 24, 14W/m2)での実験も行った.日射量が少ない条件ほど吸水速度が低下し,水ストレスを受け始める土中水圧も低下した.これは,吸水速度が小さい場合は,コマツナの吸水が土壌水分量の減少に伴う透水係数低下の影響を受けにくいためと考えられた.また,コマツナ体内の全窒素は日射量が少ない条件ほど少なかった.全吸水量は同じ条件としたため,日射量が小さいほど硝酸態窒素の吸収濃度が小さかったと言える.コマツナ体内と土中の窒素量から窒素収支を確認したところ窒素の損失があった.これは脱窒によるものと考えられるが,今回の実験系では脱窒量の測定は難しいため,2024年度は脱窒ができるだけ生じない方法を模索する必要がある.土壌センサーを用いた電気伝導率観測については,その推定精度の検証を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に計画した実験・現場観測を全て行い目的を概ね達成することができた.ただし,実験結果の信頼性を高めるために脱窒の影響を軽減したいので,実験手順と方法を見直す必要がある.また,当初は予定していなかった異なる日射量条件での実験を追加した.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度,当初は予定していなかった異なる日射量条件での実験を行ったところ,吸水と窒素吸収への影響が確認された.これは本研究の目的に大きく関連する現象であるため,新たな条件に加えることとする.また,土壌センサーによる電気伝導率の推定については,用いる推定モデルによる違いについて検証する.
|