研究課題/領域番号 |
22K05884
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宮津 進 新潟大学, 自然科学系, 助教 (30757844)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 田んぼダム / 内水氾濫解析モデル / 計算セル自動生成 / 常射流混在計算 / 評価モデル / 簡易評価手法 |
研究開始時の研究の概要 |
田んぼダムの洪水被害低減効果を簡便に評価できる手法を開発し,田んぼダムの戦略的推進に資する技術体系を構築する.本研究では,田んぼダム評価モデルの構築作業の省力化をはかり,(1)計算セルの自動生成手法,および(2)排水路縦横断情報の簡易推定手法を開発する.さらに(3)山間部から平野部に跨る流域での内水氾濫現象を一体的に解析可能にする常射流混在流れ対応型田んぼダム評価モデルを開発する.これらの成果を統合して,田んぼダムの効果を迅速且つ容易に解析できる汎用性の高い解析手法の確立する.
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研究実績の概要 |
流域治水への貢献が期待される田んぼダムの洪水被害低減効果を河川流域単位で迅速且つ容易に評価できる汎用性の高い解析手法を確立すべく,2022年度は,《要素研究-1》田んぼダム評価モデルの計算セルの自動生成手法の開発,および《要素研究-3》常射流混在流れ対応型田んぼダム評価モデルの開発に着手した. 《要素研究-1》では,道路中心線の数値地図情報を無償提供する「OpenStreetMap(以下,OSM)」 を活用して,田んぼダム評価モデルの計算セルである地形適合セルを自動生成する手法(以下,自動生成手法)のプロトタイプを開発した.本研究では,QGISのPythonプラグイン機能を活用し,OSMを用いた自動生成手法を開発するとともに,従来法によって田んぼダム評価モデルが構築されている2流域(新潟県亀田郷流域・白根郷流域)に適用し,計算セルの作成時間および計算精度に与える影響を検証した.その結果,従来法と比較して,計算セルの作成時間を1/110程度に縮減できることが示された.また,自動生成手法による氾濫計算結果(浸水面積・浸水量)は,従来法の計算結果の±3%であったことから,従来法と同等の計算精度を持つことが確認された. 《要素研究-3》では,有限体積法を用いた常射流混在計算アルゴリズムを,従来評価モデルの一次元不定流計算アルゴリズムに替えて導入することで,常射流混在流れ対応型田んぼダム評価モデルを開発した.開発したモデルを,田んぼダムの導入支援要請が寄せられている急傾斜流域(栃木県田川流域・姿川流域)に適用し,計算精度を検証した.両流域の既往最大降雨イベントの再現計算を行った結果,従来モデルでは再現できなかった河川水位および浸水範囲の実測値を良好に再現できることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの要素研究のうち2つ(《要素研究-1》田んぼダム評価モデルの計算セルの自動生成手法の開発,《要素研究-3》常射流混在流れ対応型田んぼダム評価モデルの開発)は,当初の計画とおりに進展している.一方で,《要素研究-2》排水路縦横断情報の簡易推定手法の開発については進捗が遅れているため,2023年度に重点的に取り組む予定である.そのため,“おおむね順調に進展している”と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,《要素研究-2》排水路縦横断情報の簡易推定手法の開発に着手する.本要素研究では,田んぼダム評価モデルが構築されていて地形勾配等の地理的特徴の異なる12流域を対象として,各水路地点の集水面積を基に排水路断面および排水路底の標高を推定し,排水路の縦横断データを簡便に推定する手法を開発するとともに,計算精度に与える影響を検証する. また,《要素研究-1》で開発した計算セルの自動生成手法,および《要素研究-3》で開発した常射流混在流れ対応型田んぼダム評価モデルを他流域(山形県槇川流域,宮城県米袋流域,三重県安濃川流域,等)に適用し,計算セルの作成時間および計算精度に与える影響の検証事例を蓄積することで,山地部から平野部に跨る流域の内水氾濫現象を一体的に解析できる汎用性の高い解析手法の確立を目指す.
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