研究課題/領域番号 |
22K05891
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
甲斐 貴光 明治大学, 農場, 特任准教授 (00806226)
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研究分担者 |
岩崎 泰永 明治大学, 農場, 専任教授 (40500947)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 環境保全型農業 / ナシ / 土壌微生物 / 窒素循環活性評価値 / リン循環活性評価値 / 土壌肥沃度 / 着果負担量 / 品質 / 有機栽培 / 窒素循環活性 / リン循環活性 / 光合成量 / 地上部 / 地下部 / 相対成長率(RGR) / 純同化率(NAR) / 葉面積比(LAR) |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らが明らかにした有機栽培での土壌の特徴は、慣行栽培と比較して微生物が多く、これらの微生物の活動によって窒素やリンの循環活性が年間を通じて高い。しかし、有機栽培における植物の地上部と地下部の管理を統合的に最適化し、光合成量や物質資源の利活用の最大化、品質向上を図った生産性向上のメカニズムについては十分にわかっていない。本研究では、有機栽培が取り組まれる畑地と樹園地で、気象観測、葉面受光量、土壌中の水分・溶質・熱移動などの長期連続観測を行い、日射・気温管理・養水分供給・根圏環境(土壌の物理性・化学性・生物性)の関係性が生産性向上に及ぼす影響を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、川崎市において慣行農業と環境保全型農業でナシ‘豊水’を栽培するナシ園地でそれぞれ土壌を採取し、ナシ生産現場で持続可能な資源循環型農業システムを実現するために土壌分析・調査を実施した。ナシの環境保全型農業を営む園地では、ナシヒメシンクイ、ハマキムシ、シンクイムシ類の被害を抑制するために、雄を誘引する性フェロモンを空気中に揮散し、雌雄間の交信を撹乱させることで産卵密度を低下させる取り組みや、ハダニの天敵であるカブリダニを増やして防除する取り組みが見られた。測定項目は土壌の物理性として、pFメータを用いた土壌水分量の計測、コーンペネトロメータによる地耐力測定、および土壌の化学性と生物性である。 コーンペネトロメータによる地耐力調査の結果から、ナシ園周辺の畑地土壌の地耐力と比較して、コーン指数が大きかった。ナシ園地は畑地と比較して、耕起の頻度が少ないこと、栽培期間中に多い月には数回スピードスプレヤーによる薬剤散布が実施されることや、観光園地では観光客の踏圧によって土壌が圧密を受ける機会が多いことがその要因と考えられた。また、環境保全型農業でニホンナシを栽培した土壌は、慣行農業と比較して、土壌の化学性においては、全炭素量が有意に大きかった。同様に、土壌の生物性においては総細菌数が多く、窒素循環活性が活発であった。環境保全型農業でニホンナシを栽培した果実の収穫量、糖度、乾物重、果実乾物率は、慣行農業と比較して、同程度であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、リンゴ有機栽培と環境保全型農業のナシ栽培において、昨年度に引き続き、地上部においては、現地で(1)大きさ推定の光学マーカを併用した果実画像の取得、(2)タイムラプスカメラを使用した果実の定点観測、(3)ドローン画像利用による樹の植生診断、(4)果実の重量、縦径、横径の測定する。室内試験では、(5) 果実の糖度、栄養成分を実施する計画である。地下部においては、現地で(1)コーンペネトロメータによる地耐力測定、(2)pFメータによる土壌水分量の測定、室内試験では(3)土壌の物理性・化学性・生物性、(4)飽和透水試験、(5)pF試験を実施し、植物の地上部と地下部の関係性が生産性向上に及ぼす影響を解明する計画である。
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