研究課題/領域番号 |
22K05905
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
滝沢 憲治 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (10802671)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 微細藻類 / 水熱炭化 / 燃料特性 / 化学組成 / クロレラ / 水熱処理 / 炭化 / 最適化 / 培養 / 排液 / バイオマス |
研究開始時の研究の概要 |
バイオマス利活用法の一つに,水分存在下において嫌気状態で加熱することにより炭化物を生成する水熱炭化法がある。水自体が反応の触媒として働く点,バイオマス中の無機物を水へ溶解させ炭化物の物性を向上させる点から近年注目されている。本研究では,陸上植物に比べ高い生産性を持つ一方,高い含水率を持つ微細藻類に水熱炭化を適用させ,微細藻類中に含まれる炭水化物,脂質およびタンパク質・無機物をそれぞれ炭化物,バイオディーゼルおよび微細藻類の培養培地へ利用することを目的としている。これにより高含水率である微細藻類の特徴を活かしながら,2種類のバイオマス由来製品の製造を目指す。
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研究実績の概要 |
昨年行った応答局面法による水熱炭化条件の検討によって行われた150℃~250℃,0.5~3.5時間の水熱炭化にて得られた微細藻類およびソルガムバガスの炭化物の燃料特性および化学組成の検討を行った. 燃料特性の検討を行った結果,水熱炭化物に含まれる固定炭素は,クロレラと比較してソルガムバガスにおいて多く生成され,クロレラにおいては,揮発性有機物が多く形成された.これにより,クロレラおよびソルガムバガス由来の水熱炭化物の高位発熱量はそれぞれ26.7-36.2 MJ/kgおよび19.7-28.0 MJ/kgであり,クロレラ由来の水熱炭化物がより良いエネルギー源であった.一方,ソルガムバガス由来の水熱炭化物のエネルギー収率は,クロレラよりも1.8倍多く保持されるため,技術的・商業的に実現可能であると考えられる.これらの燃料特性を考慮すると,クロレラ由来の水熱炭化物は水蒸気炭(SF = 4.08-5.90)およびコークス炭(SF = 6.63)として幅広く利用でき,ソルガムバガス由来の水熱炭化物(SF = 6.63)は蒸気炭として利用できる可能性が示唆された. 水熱炭化による炭化物の化学組成の変化を熱分解クロマトグラフィにより分析した.その結果,ソルガムバガスの加水分解糖は脱水反応によりフラン類を生成し,C-Oの還元およびC=Carの生成によって芳香族に縮合されたことが分かった.クロレラの場合,加水分解された脂肪酸は,C-Halが急激に増加するにつれて脱炭酸化およびアミド化を経て,脂肪族および脂肪アミドに変化し吸着された.また結晶化度CIはソルガムバガスで45.5%-24.3%,クロレラで35.8%-18.0%であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微細藻類の燃料特性を陸上植物であるソルガムのバガスと比較することで,その優位性を明確化できた.また熱分解クロマトグラフィにより,原料から水熱炭化物へと変化していく際の化学組成の変遷を検討することができた. 燃焼実験,貯蔵評価,吸着実験およびプロセスエネルギー評価も同時に行っており,順調に進展している. 水熱化排液(AP)の培地利用においては,30倍希釈されたAPでは,クロレラの培養は不可能であったが,生成された水熱炭化物により吸着させることにより,クロレラの培養が可能であることが分かった. このように,計画で記載していた内容は同時進行で行うことができており問題ない.
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今後の研究の推進方策 |
微細藻類の水熱炭化により生成された炭化物が,陸上植物に比べ燃料としての利点が大きいことがこれまでの実験結果より得られている.今後は水熱炭化排液の利活用,水熱炭化物の燃料以外の可能性の検討等をさらに進めていく. また来年度の最も重要な項目であるプロセルエネルギー評価に対して力を入れていく.水熱炭化条件により生成される水熱炭化物の含水率およびその疎水性も変化する.そのため,収穫・脱水後の微細藻類の含水率を75および80%であると仮定し,それぞれの含水率の微細藻類に対して,様々な条件の水熱炭化を行い,生成された水熱炭化物の乾燥速度および発熱量から全体のエネルギー評価を行う.これにより,通常の炭化システム(乾燥,炭化)に比べて水熱炭化システム(水熱炭化,乾燥)がどの程度エネルギー的に優位であるかを評価する.
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