研究課題/領域番号 |
22K05916
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
金井 源太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 上級研究員 (40355508)
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研究分担者 |
折笠 貴寛 岩手大学, 農学部, 准教授 (30466007)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | パーボイリング / トウモロコシ / コメ / ムギ / マイクロ波 / トウモロコシ子実 / 乾燥 / 微細構造 |
研究開始時の研究の概要 |
コメの胴割れ防止と栄養成分の向上のための伝統的な処理であるパーボイリングをトウモロコシ子実に適用することで、国産子実の弱点であるひび割れ低減をはかり、さらに加熱工程へのマイクロ波導入による省エネルギー化と微細構造と加工品質への影響の解明を目的とする。 具体的にはパーボイリングによる品質への影響について、異なる乾燥条件の各試験区について、穀物粒内の微細構造についてSEMおよびTEMによる結晶化状態の観察を行い、外観品質、製粉性、デンプン品質の変化メカニズムを明らかにする。また、パーボイリング後子実の乾燥排熱をパーボイリングの予熱に用いる場合のエネルギー消費低減効果試算を行う。
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研究実績の概要 |
トウモロコシ、コメ、ムギについて、パーボイリング試験とともにマイクロ波乾燥の試験を行った。パーボイリング試験については、電子顕微鏡による観察により、トウモロコシ、ムギについても、パーボイリング処理によってコメと同様に穀粒内の微細なクラックを埋める様子が認められた。 マイクロ波乾燥については、マイクロ波を印加する際に通風を行うことで、気化熱により穀粒温度の上昇を抑える手法について検討を行った。コムギにおける検討では、マイクロ波出力900W、500Wのいずれの場合も平均昇温速度は通風を行わない方が0.4℃/s高い値となった。通風によって熱が乾燥槽外に出たためと考えられる。また、通風による系外への熱の移動については、空気への伝熱と穀物中の水分蒸発に伴う潜熱の移動によって構成されると考えられる。マイクロ波出力900Wと500Wでは、昇温速度に0.7℃/sの差があった。硬質コムギの比熱1.549kJ /(㎏K)および昇温速度から、加熱に使われたマイクロ波のエネルギー割合を算定すると、900W印加時に加熱に使われたのは約41%、500W印加時は約53%であった。さらに空気の比熱、密度から算定すると、通風により約62Wでエネルギーが排出され、そのうち水の蒸発潜熱が約60W(毎秒蒸発量換算:0.024 g/s)と推算された。なお、通風により、穀粒温度の上昇程度を下げることが観察されたものの、穀粒内の水分拡散速度が制限要因となり、十分な冷却効果は認められなかった。マイクロ波加熱では昇温速度が速く、品質劣化が起こらない穀温を維持するために、風量比を高めに設定する必要があると考えられた。一方で、昇温しないと乾燥速度が遅いので、昇温過程ではマイクロ波の出力を上げるか風量比を下げ、適切な温度まで昇温した後は、マイクロ波出力を下げるか、風量比を増やすなどの乾燥条件を設定することが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ストレスクラック低減に関して、電子顕微鏡による観察により、トウモロコシ、ムギについても、パーボイリング処理によってコメと同様に穀粒内の微細なクラックを埋める様子が認められており、2024年度に学会発表予定である。 マイクロ波による乾燥についても、クラックを低減させる乾燥のためには穀粒内の水分拡散速度とバランスした乾燥速度とすることが必要であり、そのための基礎データを積み上げる方向で検討予定である。
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今後の研究の推進方策 |
パーボイリングのストレスクラック低減効果については、100℃を超えることで相変化により大きなクラックが入ることがあるため、沸騰点以下での検討を行う。評価については、引き続き電子顕微鏡による観察を行う。マイクロ波印加による乾燥手法については、品質変化をもたらす温度上昇を抑えるために、気化熱による冷却とともに、気化熱による冷却の制限要因である穀粒内の水分拡散速度の違いについて、赤外線温度計による表面温度の観察による評価を加えて、掘り下げる予定である。
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