研究課題/領域番号 |
22K05925
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
平田 聡之 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (60281797)
|
研究分担者 |
中島 大賢 北海道大学, 農学研究院, 助教 (70710945)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 窒素吸収 / 熟期 / カバークロップ / 堆肥 / 浸出液 / 土壌内酵素活性 / 有機肥料 / 養分吸収 / スイートコーン / 土壌内酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、カバークロップ主体とした栽培体系に堆肥および追肥を組み合わせることにより肥効を制御し、主作物の養分要求と同期化させることにより、化学肥料投入量を最小限にした低環境負荷型の栽培体系を確立することである。北大農場のスイートコーン栽培をモデルケースとし、温度・水分条件を制御した培養試験による土壌養分と土壌微生物活性の動態、および圃場試験により有機物の蓄積やカバークロップによるスイートコーン収穫後の養分再吸収の効果を加えた養分循環を評価する。以上の結果を取りまとめ、化学肥料投入量を最小限とし、土壌有機物量を保持したスイートコーン栽培の施肥管理法について検討する。
|
研究実績の概要 |
カバークロップと肥効性の異なる有機質資材を併用し、早晩性の異なる3品種のスイートコーンの生育過程および収量を調査した。また、栽培期間中の土壌窒素濃度を調査し、スイートコーンの窒素吸収との同期化について検討した。 窒素施肥4処理(カバークロップ(CC)+速効性肥料(CC+FF区)、CC+堆肥(CC+MA区)、CC+緩効性肥料(CC+SF区)、化学肥料のみ(CF区))を設け、各処理区内で収穫期の異なるスイートコーン3品種区(ハニーバンダム20、ララミープラス、アイダホスイート)を用いた。収穫時における全乾物重は、極早生品種であるハニーバンダム20では処理間差異が認められなかったが、ララミープラスおよびアイダホスイートではCC+SF区で減少した。収量は、最も熟期の遅いアイダホスイートでのみCC+MA区で低かった。収量構成要素の調査により、収量の低下は百粒重の低下が主な原因であることかが明らかとなった。個体内の窒素含有率は、CC+MA区およびCC+SF区で低く、特にV4期、V7期でその傾向が顕著だった。土壌窒素濃度は播種時、V4期にCC+FF区で高く、R1期以降、その差異は減少した。R1期における浸出液の調査により、スイートコーンの窒素吸収量を比較したところ明確な処理間差異が認められ、CC+MA区で最も低くCF区で高かった。収量低下の原因として、子実充実期における養分供給量の低下が考えられた。 土壌内酵素の調査では、CC+MA区においてポスファターゼ活性の上昇が認められたが、スイートコーンの生育および収量への影響は明確でなかった。今後の検討が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の研究状況は概ね順調であり、スイートコーンの生育と土壌養分の同期化の重要性が示されている。特にカバークロップや堆肥の利用では、子実充実期の養分動態に着目するとともに初期生育についても検討する必要が示された。 研究の計画段階から、圃場資材や研究試薬の価格上昇が激しく経費不足が生じたが、圃場試験に集中することにより、研究目的の遂行に問題は生じていない。土壌内酵素活性の調査については、初年度は測定手法の安定化を目標としていたが、さらなる検討が必要と考えられる。安定した測定が可能であったポスファターゼ活性に加えて、更なる土壌内酵素の測定の最適化が必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針は以下の通りである。 1)V4における全個体窒素含有率およびR1期のスイートコーンの浸出液の出量が、処理間で異なったことから、化学肥料、カバークロップ、堆肥がスイートコーンの根圏の生育に大きく影響していることが示唆された。そこで、ポット試験により生育初期(V4まで)の根系発達および養分吸収について検討する。 2)処理間における収量の差異は、主に100粒重に認められたことから、R1から収穫期までの雌穂の養分蓄積の過程を調査し、有機質資材利用における収量低下の成因について検討する。 3)土壌微生物由来窒素量とともに、土壌内酵素活性の推移を調査し、土壌微生物による有機質資材の無機化、窒素固定化およびスィートコーンの養分吸収の関連ついて明らかにする。
|