研究課題/領域番号 |
22K05929
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
大西 健夫 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70391638)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 古環境の復元 / 水文・水質モデル / 酸化還元反応 / 氾濫原 / 酸化還元状態 / 水田開発 / 都市化 |
研究開始時の研究の概要 |
核心となる学術的問い「氾濫原の開発(水田化・都市化)は、土壌中の物質動態にどのような変化をもたらしたのか?」のもと、「氾濫原開発は定期的な冠水から水田への季節的な湛水、さらには都市化による完全な非湛水を経て、温暖化ガス(N2O、CH4)排出は抑制、他方、土壌中の還元状態進行の抑制と有機物の供給減少により、還元状態で溶出する物質である鉄(Fe)やマンガン(Mn)等の濃度は減少」、という作業仮説のもとに研究を進める。各物質の負荷量の増減は他の生態系との関係や、人間活動全体として解釈する必要があるため、氾濫原開発がもたらしたであろう変化に関する基礎データを得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度に実施した研究の内容および結果は次の通りである。 1.水田土壌における溶存鉄生成能を決める要因の分析:立地(沖積低地、扇状地、山地など)、土壌タイプ(灰色低地土、グライ土、泥炭土)の異なる複数の水田土壌より深度50cm程度まで深度別に土壌を採取し、土壌の化学性、特に、非晶質鉄と結晶質鉄との構成比を算定し、水田土壌における溶存鉄生成能の決定要因の分析を行った。その結果、低平地に形成された水田においては土壌タイプの相違に関わらず非晶質の鉄の割合が多くなる傾向が見られるとともに農地利用の履歴を反映して非晶質の鉄の割合も変化しうるということがわかった。ここで得られた知見を、土壌の物質動態を水文・化学モデルに組み込むときに活用していく見込みである。2.モデル構築に必要となる各種データの収集およびモデルの試行的実行:過去2600年にわたる水文・水質モデルの数値計算を実行するために必要となる入力データを収集した。あわせて、Nakatsuka et al.(2020)による樹木年輪酸素・水素同位体比のデータより、降水量の復元を行い、過去2600年における木曽三川流域における降水量の空間的分布を算出した。収集したデータとこの降水量データを用いて、試行的にSWATモデルを実行し、計算結果の吟味を行った。3.Hydrus-HP1、RRI、およびSWATモデルの結合方法の検討:土壌中の物質動態を表現するために利用するHydrus-HP1はMODFLOWと結合して利用されることが多いが、本研究ではSWATを用いた水文流出解析、RRIを用いた氾濫解析、そして、Hydrus-HP1への入力、というような結合を構想しており、この結合方法の検討を行いおおよその方向性を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、土壌サンプルを用いた実験と、数値シミュレーションとを組み合わせた研究となっており、どちらの課題ともに、おおむね順調に進めることができた。なお、氾濫原解析に用いる予定としているRRIについては、当初予定していたよりも十分な検討ができなかったため、これについては次年度に意識して取り組みたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は概ね順調に進めることができたため、引き続きこれまでと同様のペースで取り組みたい。なお氾濫原解析の進捗が2022年度は予定と比べるとよくなかったので、この点の進捗には注力したい。
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