研究課題/領域番号 |
22K05936
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
冨永 るみ 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (20373334)
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研究分担者 |
秦 東 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 特任助教 (20908230)
藤川 愉吉 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 講師 (10506687)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | CAPRICE / 表皮細胞 / 根毛 / シロイヌナズナ / リン欠乏 / ENHANCER OF TRY AND CPC1 / 根毛形成 / 栄養欠乏 / トマト |
研究開始時の研究の概要 |
植物の根毛は、栄養欠乏時に過剰に形成され栄養吸収機能を維持することから、植物生産性を左右する重要な器官の1つである。シロイヌナズナCAPRICE(CPC)ファミリーは、根毛形成を促進する転写因子をコードする。本研究では、CPCファミリー7遺伝子のうち、“どのCPCが”、“どのような栄養が欠乏した際”、“どの組織(細胞)”で根毛形成を促進しているのかを明らかにする。同時に、シロイヌナズナとは異なる根毛パターンを持つトマトとイネのCPCファミリーの機能評価も行うことにより、栄養欠乏時の根毛形成促進機構の共通性を検証する。
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研究実績の概要 |
植物の根毛は、栄養欠乏時に過剰に形成され栄養吸収機能を維持することから、植物生産性を左右する重要な器官の1つである。シロイヌナズナCAPRICE(CPC)ファミリーは、根毛形成を促進する転写因子をコードする。CPCファミリー(7遺伝子;CPC、TRY、ETC1, 2, 3、TCL1, 2)のうち、ETC1はリン欠乏に応答して発現パターンを変えることが報告され、さらに、申請者らは根では通常発現していないETC3がリン欠乏時に発現することを見出した。そこで、シロイヌナズナCPCファミリーの機能評価実験によって、どの遺伝子がどのように根毛形成を促進しているのかを明らかにすることを目指す研究を展開している。 本年度は、リン欠乏に応答して発現パターンを変えるETC1とETC3についてさらに解析を進め、特にETC3タンパク質の挙動についての新たな知見を得た。ETC3遺伝子は、リン欠乏に応答して根の中心柱付近の組織で発現するが、翻訳産物であるETC3タンパク質もそのまま根の中心中付近に局在し、根毛形成を促進している可能性が高いことを今回初めて明らかにした。この結果については、JPBB誌に、Effect of phosphorus deficiency on the expression and protein localization of ENHANCER OF TRY AND CPC3 gene in Arabidopsis rootsのタイトルで発表した。 また、本研究を発展させた、CPCファミリーのチャのホモログ(CsCPC)の解析により、6つのCsCPC遺伝子の葉での発現の違いについてSci. Hor.誌に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シロイヌナズナの根毛形成を制御するCPCファミリーの機能評価解析を進めている。昨年度は、CPCと、CPCのホモログタンパク質であるETC1の細胞間移行について比較・解析し、CPCの24番目のセリンが重要であることを明らかにした。本年度は、昨年度の結果を基にキメラコンストラクトの作製を続け、さらに7つのCPCキメラ形質転換体の作出と解析を進めている。また、本年度はリン欠乏応答についても解析を進め、ETC1とETC3タンパク質の挙動について明らかにした論文を出版した。さらにCPCファミリーの研究を発展させたチャのホモログの発現解析も行い、論文が受理された。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
シロイヌナズナのCPCファミリーの細胞間移行機構について、引き続き解析を進める。リン欠乏条件でのCPCファミリーpromoter::GUS発現(ETC1::GUS, CPL3::GUS以外のCPCホモログ形質転換体)を詳細に観察し、組織特異的な影響について明らかにする。 トマトのホモログ遺伝子の機能については、CsTRYの過剰発現株およびゲノム編集による発現抑制株の作出を引き続き実施する。 チャのホモログの環境条件の違いによる発現変化の解析も引き続き実施する。
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