研究課題/領域番号 |
22K05941
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
松井 徹 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (90372812)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 生分解性 / 環境浄化 / 微生物 / PPCPs / 合成ムスク / エチレンブラシレート / 微生物分解 / スクリーニング / 生分解 / 大環状ラクトン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、医薬品及び生活関連物質(PPCPs:Pharmaceuticals & Personal Care Products)として懸念される合成ムスクの一種である大環状ラクトン分解微生物の探索とその性質を解明することにより、大環状ラクトン化合物の微生物分解の多様性、PPCPs分解プロセスの向上、医薬中間体等の機能性化学品生産への応用の基盤を構築することを目的とし、環境中からのエチレンブラシレート(EB)分解菌のスクリーニングと多様性解析、ゲノム解析等を含む当該分解菌の性質解明、環境浄化系における大環状ラクトン分解菌の活用を進める。
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研究実績の概要 |
1.エチレンブラシレート(EB)分解菌のスクリーニング 海洋中に拡散した汚染物の分解を目的として高塩濃度下での分解菌スクリーニングを行った。大学周辺土壌を用いた集積培養によるスクリーニングを2回行った結果、1回目は、4株の候補株が分離され、Klebsiella sp., Pantoea sp.と同定された。しかし、いずれも5%NaCl存在下での資化性が認められず、非耐塩性であった。γプロテオバクテリアのEB分解菌としては初めての分離例である。2回目のスクリーニングでは、候補株9株中5株が耐塩性EB分解菌であった。16SrRNA配列による分類から、2株はStaphylococcus sp., Bacillus sp.と同定されたが、3株は未同定であった(現在検討中)。保存菌株からのEB分解菌の予備スクリーニングを行った結果、アルカン資化性細菌1株に資化性が認められたため、スクリーニング対象を広くして検討中である。 2.分解メカニズムの解明 昨年度分離同定したEB分解菌について各種大環状ラクトン構造を有する合成ムスクに対する資化性を評価した結果、菌株による分解スペクトルの差が認められた。いずれもケトン化合物に対する資化性はなかったが、EBのみを分解する株とその他のエステル化合物を広く分解する株に分類された。休止菌体反応による分解性の比較から、資化性の違いは、初発段階のエステル加水分解/リパーゼ活性の基質特異性の差によるものと考えられた。 EB分解菌およびEB分解候補菌について次世代DNAシーケンサ(Pacbio)によるドラフトゲノム解析を行った。アノテーション結果からエステラーゼ/エステラーゼ遺伝子の抽出を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.エチレンブラシレート(EB)分解菌のスクリーニング: EB分解菌のスクリーニングを3回行い、多様なEB分解菌を分離することができた。2.分解メカニズムの解明:EBだけでなく広い範囲での大環状ラクトン系合成ムスク分解が可能であることを見出し、微生物による環境浄化の可能性が示唆された。次世代シーケンサによるゲノム解析、分解関連遺伝子情報を得ることができた。本年度は、基本データの取得に努めたため、学会発表は行わなかったが、本年度までのデータを基本とした論文発表、機能解析を進める予定である。以上のことから、当該年度計画事項に関しては概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
1.分解関連遺伝子解析-EB分解菌および高塩濃度EB分解菌について次世代シーケンサによるゲノム解析を継続して行い、その結果から、エステル分解酵素遺伝子の抽出、遺伝子組換えによる発現と分解特性検討を行う。各種大環状ムスク化合物分解性との相関を行い、リパーゼと分解活性相関を明らかにする。 2.分解活性の向上-EBを唯一の炭素源とした培養法では、菌体増殖が制限されることから分解効率が思わしくない。糖類を生育基質としてEBの分解を並行させることで分解活性の向上を期待できる。糖類の資化性を広く検討するとともに糖類+EBの複合基質による分解活性の向上を試みる。 3.分解微生物群による複合基質の分解-環境中での分解挙動を知るために、合成ムスク基質を混合し、本研究での分解菌を用いた複合基質の分解経過を解析する。各種基質の分解の優先順位、分解微生物を混合した場合の残存性と培地組成の関係を明らかにする。
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