研究課題/領域番号 |
22K05944
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
井上 聡 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, グループ長補佐 (20354011)
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研究分担者 |
中嶋 美幸 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 主任研究員 (20370611)
大久保 さゆり 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 主任研究員 (20705793)
浪川 茉莉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 研究員 (30760102)
舛谷 悠祐 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 研究員 (60909456)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 気候変動適応策 / 2023年夏季猛暑 / 水稲乾田直播 |
研究開始時の研究の概要 |
温暖化により出穂期など発育が早まり、高温障害危険期が早期化して夏の最高温期との重なりが増え、高温に遭遇しやすくなる。この適応策として、乾いた圃場に直接種籾を播種する乾田直播栽培を提案する。乾田直播栽培は、出芽やその後の初期生育に時間が掛かり、発育が遅れ気味のため高温障害リスクを低減できる可能性が高い。しかし移植栽培と異なる過程を表現する実用的な発育モデルが未だ存在しないため、リスクを計算できない。そこで本研究では、1.乾田直播栽培を表現する発育モデルを新たに開発する。そして、2.現在や将来気候条件下において、移植栽培に対する高温障害リスク低減効果を検証し、適応策として取りまとめる。
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研究実績の概要 |
本研究のテーマは「東北地方の気候変動に対する水稲乾田直播栽培による適応策の提示」である。さて、2023年8月平均気温の東北地方の平年差は4.2℃(気象庁地域平均気象データ)であり、21世紀末の気候変動後の気温状況が現実に再現されたのと同等の状況であった。気候シナリオと比較すると、CMIP5のMIROC5のRCP8.5における21世紀末と同等であった。RCP2.6では21世紀末においても2023年8月の気温に達しなかった。そこで、2023年夏季高温時における東北地方を中心とした気象状況を解析するとともに、その際の水稲の生育状況を調査・解析することによって、将来予測を行う本課題の研究が大きく加速すると考えた。夏季の猛暑によって、水稲が高温障害を起こし、白未熟粒が発生することが知られているが、これは、すでにモデル化されている。具体的には、出穂後20日間(登熟期前半)について、日平均気温が26℃を超過した値を積算した暑熱指数(ヒートドース値、HD_m26)であり、この値がおよそ20(℃・日)を越えると、品質低下のリスクが増すとされる。東北地方の2023年夏季についてHD_m26を調べたところ、過去年に比べて非常にHD_m26が大きく、高温が長期間続いたことが分かった。したがって高温により生じる白未熟粒、胴割粒などが増加したと考えられ、実際に、2023年産米の検査結果では東北地域の一等米比率は過去に例のない低い値となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気候変動後の水稲生育結果は、2023年夏季猛暑での生育結果を参照することで可能となる。気象解析結果の解析・学会発表と並行して収量、品質の両面で解析を進めているところである。移植栽培に対する乾田直播栽培の優位性も検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度夏季猛暑時の東北地方における水稲の生育、収量、品質の結果を真値として、移植栽培および乾田直播栽培による栽培試験結果をモデル化して比較し、妥当性の高い将来予測を行う方針である。
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