研究課題/領域番号 |
22K05945
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
山下 結香 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (00403163)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 生分解性プラスチック分解酵素 / 畑土壌 / 土壌微生物 / サブトラクション法 / メタトランスクリプトーム / 農業用生分解性プラスチック製マルチフィルム |
研究開始時の研究の概要 |
生分解性プラスチック(生プラ)を構成するポリエステル(ポリマー)は、主に畑土壌中の微生物が生産する酵素によってモノマーまで分解され、資化される。しかし、その分解速度は環境条件に依存する。律速となっているのは初期のポリマー分解過程であると考えられるが、詳細は未だに明らかになっていない。 本研究では、まずモデル実験系を用いて土壌から直接生プラ分解初期に増加する遺伝子の配列情報を得る手法の確立を目指す。続いて、生プラ分解菌を集積した土壌から遺伝子情報を取得する。得られた遺伝子情報を比較することで、各土壌が持つ生プラ分解ポテンシャルの事前予測のための知見を得る。
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研究実績の概要 |
畑作で使う生分解性プラスチック製マルチフィルム(生分解性マルチ)は、使用後土壌に鋤きこむと最終的には二酸化炭素と水まで分解されるため、省力化とゴミ削減効果が期待されている。しかし、環境条件によって分解速度が異なり、分解の予測が難しい。 本研究では、土壌中での分解の律速要因の一つだと考えられる初期のポリマー分解の過程に関わる微生物および酵素遺伝子を特定するため、土壌から直接生プラ分解初期に増加する遺伝子の配列情報を得る手法の確立を目指している。 昨年度、強力な生分解性プラスチック分解菌である真菌(Paraphoma sp. B47-9株)を接種した土壌の調整方法や、生分解性プラスチック(ポリブチレンスクシネートアジペート(PBSA))製フィルムの埋設期間を決定し、集積培養の有無および菌株接種の有無で埋設試験を行った。本年度は昨年度各条件から経時的にサンプリングした土壌から土壌DNAを抽出し、B47-9株が持つ生分解性プラスチック分解酵素(PCLE)を指標として解析を行った。土壌の継代による分解菌集積の可能性を検証したところ、菌を接種した土壌にフィルムを埋め、2回継代した土壌から抽出したDNAからはPCLE遺伝子だと考えられる増幅断片が検出された。一方で菌を接種しても、フィルムを埋めずに継代を行った場合はPCLE遺伝子だと考えられるPCR断片が検出されず、フィルムを用いた集積培養が分解初期に機能する菌の集積に効果的である可能性が示唆された。現在、増幅断片のシーケンス解析を行い、増幅断片がPCLE遺伝子であるかどうかの検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度サンプリングした土壌からのRNA抽出の検討に時間を要し、RNAを用いたサブトラクション法の検証までは至らなかったという点で遅れが生じている。 しかし、DNAを用いた解析結果より、フィルム埋設土壌を用いた集積培養によってフィルムの分解初期に機能する菌を優先的に増幅できる可能性を示唆することが出来た。このため、最終年度は予定通り、生分解性フィルムの分解に直接関与する遺伝子の検出法を検証する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
土壌から抽出したRNAを用いてサブトラクション法を実施し、生分解性プラスチック分解初期に発現するmRNAの情報取得を目指す。さらに、実際の畑土壌から生分解性マルチ分解初期に働く酵素の配列情報が取得できるかどうか検証する。
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