研究課題/領域番号 |
22K05948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 富山県衛生研究所 |
研究代表者 |
健名 智子 富山県衛生研究所, 化学部, 上席専門員 (60416089)
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研究分担者 |
小玉 修嗣 東海大学, 理学部, 教授 (70360807)
山本 敦 中部大学, 応用生物学部, 教授 (60360806)
加賀谷 重浩 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (50272894)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 親水性化合物 / HPLC-UV法 / 金属イオン / 親水性抗生物質 / 逆相カラム |
研究開始時の研究の概要 |
近年,人や動物の疾病の治療や予防に幅広く大量に使用される抗生物質が新たな水環境汚染物質として世界的に問題となっている。しかしながら,水溶性が高く紫外/可視領域に特異的な吸収を持たない抗生物質に対してはこれまでに良好な分析法がなく,その選択的かつ高感度な分析法が求められている。これまでにオンラインで金属イオンと配位させることにより高親水性化合物をHPLC-UV法により選択的かつ高感度に分析する方法開発してきた。今回この手法を抗生物質に対して適用し,水環境中抗生物質のモニタリング法として応用する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は,汎用的な逆相カラムを用いて親水性の抗生物質を選択的かつ高感度に分析する高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を開発し,水環境中での動態を解析することを目的とする。申請者らはこれまでに,分子内にカルボキシル基やヒドロキシル基を持つ高親水性化合物をオンラインで金属イオンと配位させることにより, HPLC-UV法により分析する方法を開発してきた。紫外/可視領域に特異な吸収を持たないが分子内に金属イオンと錯化合物を形成しうる構造を持っている抗生物質の,金属イオンとの錯体形成を利用した高選択的HPLC-UV法を開発することができれば,使用量の多い抗生物質の水環境中の濃度のモニター法として有用と考えられる。 親水性抗生物質は分子内にカルボキシル基やヒドロキシル基のほかアミノ基を持っている。研究初年度である本年度は,アミノ基を持つ化合物の金属イオンとの配位によるHPLC-UV法による分析法の開発を試みた。エチレンアミン類は特異的な吸収をほとんど持たないことから,これまでは蛍光誘導体化後HPLC-FL法により分析されてきた。しかしながら,この方法には煩雑な前処理,高価な誘導体化試薬や蛍光検出器が必要となる等の点で汎用性や簡便性に課題があった。 移動相に銅イオンを添加し,4種のエチレンアミン類をオンラインで銅イオンと配位させ,HPLC-UV法で一斉分析する方法の確立を目指した。銅濃度とpHを調整することにより,4種のエチレンアミン類は銅錯体を形成した。また,これら銅錯体はイオンペア試薬を用いることで逆相カラムへの保持が可能となり,イオンペア試薬とアセトニトリル濃度を最適化することで,4種のエチレンアミン類を逆相イオンペアHPLC-UV法で分離・検出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
紫外部に吸収を持たず,通常逆相カラムでは保持されないエチレンアミン類が,移動相に金属イオンを加えることにより,金属イオンと配位した形で,逆相イオンペア分離されること,またUV検出されることがわかった。このことは分子内にアミノ基を持つ親水性抗生物質も,金属イオンとの錯体形成を利用したHPLC-UV法により分析できる可能性を示唆しており,今後,エチレンアミン類と同様に煩雑な誘導体化の後HPLC分離される,分子内に複数のアミノ基を持つカナマイシン等抗生物質の分析にも,この方法を適用することができると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
研究二年度である次年度は,本年度のエチレンアミン類の分析で得られた知識を活用し,親水性抗生物質について,金属イオンを添加した移動相を用いたHPLC-UV法による分析法を開発する。同時に,本年度開発したエチレンアミン類の分析法を,環境水試料へ適用するための濃縮また妨害因子除去等の前処理法の検討を行い,実試料を分析する。 研究一・二年度の結果を踏まえ,研究三年度においては,親水性抗生物質分析について,前処理法の検討と,水環境試料へ適用を目指す。
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