研究課題/領域番号 |
22K05951
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
原山 洋 神戸大学, 農学研究科, 教授 (30281140)
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研究分担者 |
中嶋 昭雄 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 准教授 (70397818)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 応用動物 / ウシ / 人工授精 / 精子 / 鞭毛運動 |
研究開始時の研究の概要 |
低迷するウシの繁殖成績を向上させるため,精子3次元運動のトリガー反応の分子機構を究明して,新しい評価基準(3次元運動)に基づく精子鞭毛機能検査法の評価基準の合理性・信頼性を確立する。また畜産現場での実用化試験を実施することで,種雄牛センターでのこの新検査法の利用を促進させる。 1~2年次には精子での3次元運動(ローテーション運動とFull-type超活性化運動)のトリガー反応の分子機構を究明する。また精子内分子を定量的に評価する新規の精子分子性状検査法の開発も進める。 2~3年次には新検査法の種雄牛センターでの実用化試験を実施する。またシンポジウムを開催して新検査法の周知および普及を図る。
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研究実績の概要 |
○ 薬理学的な実験によりローテーション(R)運動の発生制御に機能することを示唆したNa+/Ca2+交換体(NCXs)について,新鮮射出精子での免疫学的な手法による検出が困難であったことから,鞭毛機能検査法の指標には適さないことを示唆した。 ○ 凍結保存精子において,R運動を伴うカリクリンA(CL-A)誘発性Full-type超活性化運動(F-HA)の発生を抑制的に制御するストア作動性チャネル(SOC)のアイソフォームを薬理学的な実験により特定した。またこのアイソフォームが鞭毛に存在することを免疫学的な手法で新鮮射出精子において示した。しかし分子の定量解析に使用する凍結保存精子では,保存液に由来する卵黄成分が,上記のアイソフームの免疫学的な手法による検出の障害となることが判明した。なお,これに代わる定量解析用分子(glycogen synthase kinase 3の不活性化に関与する可能性のある分子)の探索を開始し,R運動を伴うCL-A誘発性F-HAの発生制御に関与する分子を薬理学的な実験により見出した。 ○ 7頭の黒毛和種種雄牛候補の凍結保存精子におけるR運動およびR運動を伴うCL-A誘発性F-HAの発生状況を調べ,個体差に関するデータを得た。また同一ロットの凍結保存精子を用いて実施された人工授精(AI)の成績を入手した。現状(7頭の成績)では,R運動を伴うCL-A誘発性F-HAの発生率とAIの成績との間に有意な相関関係が認められている。 ○ 令和5年9月24日に神戸大学農学部において,第116回日本繁殖生物学会大会のサテライトシンポジウムをハイブリッド形式で開催し,新規の鞭毛運動検査法の必要性と開発状況を紹介した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題①(実施期間:令和4年度当初~5年度末)すべての課題の検討を終え,多くの成果を得た。 課題②(実施期間:令和4年度後半~5年度末)R運動を伴うCL-A誘発性F-HAの発生制御分子の定量解析を除き,すべての課題の検討を終えた。当初に予定していた分子の定量解析に保存液の卵黄成分が悪影響を及ぼすという困難に見舞われたが,代替分子をすでに見出せている。 課題③(実施期間:令和5年度当初~6年度末)令和5年度に予定した課題を終え,有望な成績を得た。 課題④(実施時期:令和5年度)予定した計画をすべて実施した。
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今後の研究の推進方策 |
課題② 上述の未完了課題について,代替分子をすでに見出せているので実施期間を延長して検討を継続する。 課題③ 令和6年度も7頭分の実験サンプルを確保しており,検査例数を増やすことで研究成果の信頼性の向上を目指す。
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