研究課題/領域番号 |
22K05953
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
川崎 淨教 香川大学, 農学部, 准教授 (30739206)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 飼料用昆虫 / アメリカミズアブ / イエバエ / 昆虫油 / ブタ / ニワトリ / RNA-seq |
研究開始時の研究の概要 |
近年、鶏や豚の飼料の約8割を占める濃厚飼料原料の値上がりが著しく、我が国の畜産業の維持が今まで以上に困難な状況に陥っている。 これまでの研究のなかで、昆虫粉末の給餌により採卵鶏の体重や卵黄重が高値を示すこと、昆虫油に抗菌性がみられること、つまり昆虫の飼料利用が養鶏農家の生産性を向上し得ることを見出した。 本研究では、上記の現象をもたらした昆虫粉末中成分を特定し、作用機序を解明すると共に、昆虫油中抗菌成分の給餌方法を検証することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度は①「離乳子豚への昆虫油の給餌試験」や②「飼料用昆虫のIn vitro消化・発酵試験」、③「昆虫粉末を長期給餌した採卵鶏の肝臓中抗酸化関連酵素濃度の測定」等を実施した。 ①では、MIC(最小発育阻止濃度)測定法により、昆虫(アメリカミズアブ)油中の主要な脂肪酸であるラウリン酸が抗菌性を示す最小濃度を算出し、飼料中に昆虫油を0.15%添加し、給餌試験を行った。給餌試験の結果、昆虫油を添加しない対照区に比べ、昆虫油を0.15%添加しても成長成績や腸内細菌叢に有意差はみられなかった。 ②では、昆虫粉末として、アメリカミズアブ脱脂粉末、アメリカミズアブ未脱脂粉末、イエバエ幼虫未脱脂粉末、イエバエ蛹未脱脂粉末の4種類を用い、既存の飼料原料として大豆粕とCorn fermented protein(CFP)を用い、In vitro消化・発酵試験を実施した。その結果、昆虫粉末のうちアメリカミズアブは脱脂未脱脂に関わらず、大豆粕と似た消化性を示した。一方、イエバエ幼虫および蛹は大豆粕よりも消化性が低いものの、バイオエタノールの副産物であるCFPよりは高い消化性を示し、特にイエバエ蛹が昆虫粉末の中では最も低い消化性を示した。また、発酵性については全ての昆虫粉末が大豆粕やCFPよりも低いことが明らかとなった。 ③では、アメリカミズアブ脱脂粉末を採卵鶏に長期給餌した際に採卵鶏の体重や卵重が高値を示した要因の解明を目的として、採材済みの肝臓中のグルタチオン(GSH・GSSG)やNADPH、Nrf2等の濃度測定を行った。その結果、昆虫粉末給餌により採卵鶏の肝臓中GSH濃度やNAD+、NADPH、GSH/GSSG比が対照区に比べ有意に高い値を示した。また、肝臓中のNrf2は昆虫粉末給餌区が高値を示す傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、昆虫油の給餌試験やIn vitro消化・発酵試験を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
様々な先行研究結果から、昆虫粉末を家畜に給餌すると家畜の腸内細菌叢が変化し、短鎖脂肪酸濃度も増加することが示唆されてきた。しかしながら、本研究により、昆虫粉末の発酵性は大豆粕やCFPなどの既存のタンパク質資源よりも低いことが明らかとなった。また、昆虫粉末の給餌が抗酸化関連酵素濃度を増加させる可能性が示されたことから、細胞培養試験等を実施し、機能性を示す画分や物質等の特定を目指す。
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