研究課題/領域番号 |
22K05963
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
室谷 進 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 連携調整・専門役等 (50355062)
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研究分担者 |
後藤 貴文 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (70294907)
大島 一郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (60465466)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 代謝プログラミング / ウシ / ヒストン修飾 / 肉用牛 / 骨格筋 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、エピジェネティック因子の一つ、ヒストンの化学修飾に注目し、低栄養条件により黒毛和種牛繁殖雌牛胎仔の代謝プログラミングを誘導したときに、成長過程の子牛骨格筋での主要なヒストン修飾がどのように変化するか、遺伝子発現との関連とともに解析する。同時に増体や肉質等との関連を調査し、初期栄養条件で変化する子牛骨格筋のヒストン修飾と遺伝子発現、肉質・肉量の関連性を明らかにし、黒毛和種牛の代謝プログラミング機構をヒストン修飾の面から解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、代謝プログラミング研究のために栄養条件を通常の120%(高栄養区:HN)または60%(低栄養区:LN)に設定した飼養条件下の黒毛和種妊娠牛の胎子を分析対象としている。これまでに各♂4頭の飼養条件区の間において、重量に差が生じた胎子骨格筋(最長筋)では、多くの遺伝子の発現とともに代謝物の含量に有意な差が認められている。本課題では、低栄養区の胎齢8.5ヵ月の胎子において遺伝子発現調節を制御するヒストン修飾がどのように変化しているかを調べることを目的としている。ヒストン修飾には遺伝子発現に及ぼす制御の違いによる複数のタイプがある。そこで今回は、転写活性化に作用する修飾様式H3K4me3が牛胎子骨格筋ゲノム上のどの遺伝子で増加または低下するかを調べ、ヒストン修飾が代謝プログラミングでどのような意義を持つのかを明らかにすることを目的としている。このために、最長筋より抽出したゲノムDNAを用い、ChIP-seq法によりヒストン修飾について網羅的に解析した。ChIP-seqの結果、H3K4me3の修飾を受けた遺伝子領域として、総計26,986のピーク領域にアノテーションが付与された。LN胎子において、数種のオートファジー関連遺伝子、脂質代謝および糖代謝等に関わる遺伝子のプロモータ領域にH3K4me3の有意な変化があることが判明した。LN胎子における骨格筋の成長遅滞には、これらの遺伝子群におけるH3K4me3の変化が関与する可能性が示唆された。H3K4me3は遺伝子の転写活性化に関与することが知られており、これらの遺伝子群の転写活性化が変化すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に示したヒストン修飾についての網羅的な解析が滞りなく進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析で、H3K4me3の修飾に変化が明らかになったLN胎子の遺伝子群に注目し、遺伝子オントロジーやパスウェイ解析を行う。これによりヒストン修飾のため発現活性化が考えられる遺伝子群が関与する細胞生物学的現象や遺伝子活性化カスケードを明らかにする。また、個々の対象遺伝子の発現について、マイクロアレイ解析またはPCRにより調べる。さらに、可能であれば代謝プログラミングの影響受けると考えられる関連臓器の一つ、肝臓についてもヒストン修飾の解析を進める。
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