研究課題/領域番号 |
22K05975
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
相澤 修 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (10645899)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 母乳 / エクソソーム / オートファジー / 腸管上皮細胞 / 腸管組織 / 恒常性維持 |
研究開始時の研究の概要 |
エクソソームは細胞から分泌される膜小胞である。ウシ乳汁にも含まれることから、牛乳を摂取したヒトにおけるエクソソームを介した生理機能調節作用が期待されている。研究代表者は、ウシ乳汁エクソソームが生体内の恒常性維持に関わる細胞内分解系オートファジーを活性化することを見出し現在研究中である。本研究では研究代表者が発見したウシ乳汁エクソソームにより活性化されるオートファジーの分子機構と生体内における存在、および腸管組織の恒常性維持におけるその役割を明らかにする。本研究により、牛乳に含有されるエクソソームの新規機能とその分子基盤の解明が期待される。
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研究実績の概要 |
エクソソームは細胞から分泌される膜小胞であり、生体内では血液をはじめとするあらゆる体液中に存在することが知られている。哺乳動物の新生児(仔)にとって唯一の栄養源である母乳におけるエクソソームの存在もマウスやヒトをはじめ多くの動物種で確認されている。このことは、生体内における細胞間情報伝達のみならず母乳を介した母親-新生児(仔)間の情報伝達にもエクソソームが関与することを示唆するものである。また、ウシに関しても母乳にエクソソームが含まれていることが多数報告されており、動物種間におけるmiRNA配列の高い保存性から、食品として牛乳を摂取したヒトにおけるエクソソーム内miRNAを介した生理機能調節作用が期待されている。申請者は、ウシ乳汁エクソソームの機能を探索する過程において、腸管上皮細胞株のオートファジーを活性化させることを見出した。本研究では、腸管組織におけるウシ乳汁エクソソームのオートファジー活性化の分子機構と生体内における存在、および腸管組織の恒常性維持におけるその役割を明らかにすることを目的とする。 今年度は、ウシ乳汁から超遠心分離法を用いて効率的にエクソソームを単離する方法を開発し、さらにオートファジー活性化の分子機構に関してmiRNAに着目して検討を行った。ウシ生乳から単離・精製されたエクソソーム分画より得られたRNAを用いて次世代シーケンサーによる網羅的かつ定量的解析を行った。その結果、乳汁エクソソームは特徴的なmiRNA含有パターンを示すことが明らかとなった。現在、腸管上皮細胞株における上記のmiRNA群の標的遺伝子発現について解析中である。また、生体における乳汁エクソソームによるオートファジー活性化の存在を明らかにするための準備として、マウス腸管組織におけるオートファジーマーカータンパク質の染色法に関して条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウシ乳汁より単離・精製されたエクソソームに含有されるmiRNAを解析した結果、特徴的なmiRNA含有パターンを示すことが明らかになり、当初の計画通りオートファジー活性化の分子機構の一端を明らかにすることができた。現在はそれらmiRNA群の機能に関して培養細胞を用いて解析中である。また、生体レベルにおける乳汁エクソソームによるオートファジー活性化の存在を示す実験についてもすでに着手しており、マウス腸管組織を用いて複数のオートファジーマーカータンパク質の染色条件を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、第一に生体における乳汁エクソソームによるオートファジー活性化の存在を明らかにする。マウスに対してウシ乳汁エクソソームを経口投与し、腸管組織をLC3タンパク質などのオートファジーマーカータンパク質に対する抗体で免疫染色することにより、培養細胞レベルで明らかとなった乳汁エクソソームによるオートファジー活性化を生体レベルで示すことを目標とする。加えて、炎症性腸疾患の培養細胞モデルを用いて乳汁エクソソームの病態改善効果について追究することにより、腸管組織の恒常性維持におけるその役割を明らかにする。
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