研究課題/領域番号 |
22K05982
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
麻田 正仁 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (40587028)
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研究分担者 |
渡邊 勇歩 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40895893)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | バベシア / ウシ / ピロプラズマ / 赤血球 / 脳性バベシア |
研究開始時の研究の概要 |
ウシの脳性バベシア症は、赤血球寄生原虫であるBabesia bovisによって引き起こされる致死的な病態であり、有効な治療法は存在しない。B. bovisは寄生している赤血球を自らの生存に適した環境に改変しており、感染赤血球表面にはRidgeと呼ばれる突起物が形成され、そこに局在するVESA-1が脳性バベシア症の発症に深く関わる。申請者らはVESA-1の輸送に関わる分子VEAPを初めて明らかにしたが、脳性バベシア症に繋がる感染赤血球改変分子の多くは未同定である。本研究では、VESA-1の赤血球内輸送並びにRidgeの形成に関わる分子の同定・機能解析を行い、新規脳性バベシア症治療法の開発を行う。
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研究実績の概要 |
ウシの脳性バベシア症は、赤血球寄生原虫であるBabesia bovisによって引き起こされる 致死的な病態であり、未だに有効な治療法は存在しない。B. bovisは寄生している赤血球を自らの生存に適した環境に改変しており、感染赤血球表面にはRidgeと呼ばれる突起物が形成され、そこに局在するVESA-1が脳性バベシア症の発症に深く関わる。申請者らのグループはVESA-1の赤血球内輸送機構に着目し、VESA-1の輸送に関わる分子VEAP(VESA Export-Associated Protein)を初めて明らかにした。その一方で、VEAPはVESA-1と直接相互作用しておらず、脳性バベシア症に繋がる感染赤血球改変分子の多くは未同定である。本研究は、VESA-1の赤血球内輸送並びにRidgeの形成に関わる分子の同定・機能解析を行うとともに、脳性バベシア症治療法の開発を目指した化合物探索を行うことを目的としている。 本年度はSBP(Spherical body protein)に着目して解析を行った。SBPはSBP1~4が知られ、バベシア感染赤血球の膜近傍に局在するため、脳性バベシア症やRidge形成に関わることが推測されていたが、それを裏付けるデータは殆ど無かった。そこで、SBP3,4に対して、ゲノム編集法を用いた遺伝子ノックアウト並びにglmSリボザイム配列を用いた遺伝子ノックダウンを行った。遺伝子ノックアウトでは原虫が得られなかった一方、遺伝子ノックダウン原虫の作製では、SBP3,4遺伝子とも目的の原虫が得られた。SBP3ノックダウン原虫についてはタンパク質のノックダウンが確認され、原虫が増殖できないことが明らかとなりバベシア原虫の生存に必須の分子であることが明らかとなった。現在、脳性バベシア症に繋がる機能について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SBPの解析ではノックダウン原虫が得られ、当初の計画以上に研究が進んでいる。一方、当初計画していたVESAやVEAPなどと相互作用分子する分子の同定については、実験の準備は進んだが、結果はまだ出ていない。よって、全体的に見ると遅れもあるものの、おおむね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
SBPノックダウン原虫における、他の感染赤血球改変分子の発現・局在の変化、Ridgeの形成状況、感染赤血球のウシ脳血管内皮細胞への接着能について解析を進める予定である。また、バベシアにおける近位依存性ビオチン標識法の確立を行い、VESAやVEAP、SBPといった分子と相互作用分子する分子の同定を進める。
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