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虚弱子牛症候群の低免疫状態に関与する胸腺皮質上皮細胞の特性解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K05988
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分42020:獣医学関連
研究機関宮崎大学

研究代表者

脇谷 晶一  宮崎大学, 農学部, 講師 (40621800)

研究分担者 保田 昌宏  宮崎大学, 農学部, 教授 (10336290)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード黒毛和種子牛 / 胸腺 / 急性退縮 / 細胞増殖 / 胸腺皮質上皮細胞 / T細胞 / マクロファージ / IARS異常症 / 虚弱子牛症候群 / 皮質上皮細胞 / サイトケラチン / プログラム細胞死 / DNAマイクロアレイ解析 / 細胞周期関連遺伝子 / 免疫組織化学 / 子牛 / 虚弱 / 胸腺上皮細胞
研究開始時の研究の概要

畜産において幼若家畜の日和見感染症による損失が問題となっている。日和見感染症を引き起こす背景として虚弱子牛症候群(WCS)があり、WCSの胸腺ではT細胞の増殖を支持する胸腺皮質上皮細胞の表現型が正常とは異なっている。WCSの胸腺皮質上皮細胞の表現型異常とT細胞増殖不全に関するメカニズムを明らかにするため、本研究では子牛の予後不良例の胸腺を対象とした網羅的遺伝子発現解析と組織学的解析を実施し、日和見感染症の発生減少を通じた食肉生産の安定化に寄与する。

研究実績の概要

前年度のDNAマイクロアレイ解析で子牛胸腺の急性退縮との関連が疑われた遺伝子についてリアルタイムRT-PCRによる再検証を実施した。廃用黒毛和種子牛の胸腺を検体とし、病理組織学的分類に基づいて各種遺伝子発現量を比較したところ、細胞増殖関連遺伝子PCNA、KIFC1の発現量が正常な胸腺と比較して急性退縮4期の胸腺で低かった。胸腺皮質上皮由来分子の遺伝子発現量を調べたところ、胸腺皮質上皮細胞マーカー遺伝子Ly51/ENPEPの発現量が急性退縮2期から4期にかけて減少していた。T細胞の成熟に関わるPSMB11とPRSS16の発現量は急性退縮4期群でそれぞれ正常群の10%と18%であったが、統計学的な違いは認められなかった。PSMB11とPRSS16に対する免疫組織化学を実施したところ、単独の抗体を用いた染色では皮質上皮細胞におけるシグナルを特定できなかった。そこでサイトケラチンとの二重蛍光法によってPSMB11とPRSS16の局在を確認したが、サイトケラチン陰性細胞のみにPSMB11とPRSS16のシグナルが認められた。
前年度に明らかにした胸腺急性退縮の進行に伴うCleaved Caspase-1の増加に関連して、急性退縮初期の胸腺を対象にF4/80抗体を用いた免疫組織化学を実施し、胸腺皮質と髄質におけるマクロファージの定量化を行った。Cleaved Caspase-1陽性細胞率とF4/80陽性細胞率の間に相関は認められず、急性退縮に伴うCaspase-1の活性化がマクロファージの増加に依存しないことが示唆された。
ウシIARS異常症モデルマウスC57BL/6J-Iars<em2(V79L)Nsas>にLPSを腹腔内投与したところ、胸腺内のカスパーゼ3の活性化が野生型より顕著に認められ、ウシIARS異常症ではLPS誘導性胸腺退縮が亢進される可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2023年度はDNAマイクロアレイ解析の結果の再検証、PSMB11とPRSS16に対する免疫組織化学、廃用子牛の血中エンドトキシンの測定、マクロファージに対する免疫組織化学、ウシIARS異常症モデルマウスのWCS胸腺病態モデルとしての有用性の検討を実施する予定であった。
DNAマイクロアレイ解析の結果の再検証は計画通りリアルタイムRT-PCRを実施し、DNAマイクロアレイ解析の結果の正当性を確認することができた。PSMB11とPRSS16に対する免疫組織化学は当初の予想と異なり、正常胸腺組織においても上皮細胞における局在を確認することができなかった。廃用子牛の血中エンドトキシンの測定は解剖室の改修に伴って代替え施設を確保できなかったため、廃用子牛の剖検自体を休止せざるを得なかった。
マクロファージに対する免疫組織化学は計画通りに実施し、前年度に確認された急性退縮に伴うCleaved Caspase-1陽性細胞率の増加がCaspase-1の活性化によるものであることが示唆された。ウシIARS異常症モデルマウスのWCS胸腺病態モデルとしての有用性に関しては、LPS投与によってWCSと類似した胸腺の病態変化が起こることが明らかになった。
このように概ね予定通りの計画で実施できたが、予期せぬ実験結果や実施環境の変化によって全体的にはやや遅れている。

今後の研究の推進方策

2023年度に実施できなかった廃用子牛の血中エンドトキシンの測定については2024年5月より剖検を再開し、血中エンドトキシンと胸腺の病理組織学的状態の関連を明らかにし、子牛の胸腺の病態に敗血症状態が関わっているのかを評価する。
2023年度に明らかにしたウシIARS異常症マウスにおけるLPS誘導性胸腺退縮の亢進について、定量的な評価を実施して多角的に再現性の確認を実施する。
T細胞の成熟に関わるPSMB11とPRSS16の発現について、廃用子牛の検体を増加させるのに加えて、WCS胸腺病態モデルを用いて、病態進行に伴った動態を明らかにする。
廃用子牛胸腺の病理組織学的異常がT細胞の成熟に与える影響について、成熟T細胞抗原の発現量を指標とした組織学的解析により評価する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Anatomical View of the Internal Carotid Artery Occlusion in Japanese Black Cattle2024

    • 著者名/発表者名
      Jadi Arvendi Rachma、Fujisaki Hinako、Ramah Amany、Baakhtari Mahmoud、Imatake Shoichiro、Wakitani Shoichi、Yasuda Masahiro
    • 雑誌名

      Animals

      巻: 14 号: 3 ページ: 365-365

    • DOI

      10.3390/ani14030365

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Naturally occurring phytanic acid exerts anti‐inflammatory effects in a mouse model of dextran sulfate sodium‐induced colitis2024

    • 著者名/発表者名
      Nakanishi Tomonori、Suga Keisuke、Wakitani Shoichi、Yamaguchi Kohta、Sugamoto Kazuhiro、Erickson Laurie、Kawahara Satoshi
    • 雑誌名

      European Journal of Lipid Science and Technology

      巻: 126 号: 4 ページ: 2300165-2300165

    • DOI

      10.1002/ejlt.202300165

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Use of platelet lysate for in-vitro embryo production and treatment of repeat breeding in cows2023

    • 著者名/発表者名
      Hassaneen Ahmed Saad Ahmed、Rawy Mohamed Sadawy、Yamanokuchi Eigo、Elgendy Omnia、Kawano Takanori、Wakitani Shoichi、Kitahara Go、Osawa Takeshi
    • 雑誌名

      Theriogenology

      巻: 210 ページ: 199-206

    • DOI

      10.1016/j.theriogenology.2023.07.034

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Prevalence of anatomic variants in coronary arteries of Japanese Black cattle2023

    • 著者名/発表者名
      OHASHI Yuki、WAKITANI Shoichi、YASUDA Masahiro
    • 雑誌名

      The Journal of Veterinary Medical Science

      巻: 85 号: 2 ページ: 135-142

    • DOI

      10.1292/jvms.22-0369

    • ISSN
      0916-7250, 1347-7439
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 黒毛和種哺乳子牛の健常時および下痢症罹患時における血清ガストリン濃度2022

    • 著者名/発表者名
      神澤 聖也、脇谷 晶一、神澤 彩、新倉 匡賢
    • 雑誌名

      家畜診療 (Journal of Livestock Medicine)

      巻: 69 ページ: 661-665

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] The FGF receptor inhibitor PD173074 modulates Lefty expression in human induced pluripotent stem cells differently depending on the culture conditions2022

    • 著者名/発表者名
      Wakitani Shoichi
    • 雑誌名

      Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Cell Research

      巻: 1869 号: 7 ページ: 119260-119260

    • DOI

      10.1016/j.bbamcr.2022.119260

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 黒毛和種廃用子牛の胸腺の病理組織学的異常度と胸腺トランスクリプトームの関連2023

    • 著者名/発表者名
      古川 涼悟、脇谷 晶一、川端 理紗子、保田 昌宏
    • 学会等名
      第166回日本獣医学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 若齢黒毛和種廃用牛群の胸腺におけるカスパーゼ1とカスパーゼ3の活性化2022

    • 著者名/発表者名
      奥原 千紗貴、川端 理紗子、岡 亮太朗、脇谷 晶一、保田 昌宏
    • 学会等名
      第165回日本獣医学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 若齢黒毛和種廃用牛群の胸腺におけるサイトケラチンの発現と分布2022

    • 著者名/発表者名
      川端 理紗子、奥原 千紗貴、脇谷 晶一、保田 昌宏
    • 学会等名
      第165回日本獣医学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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