研究課題/領域番号 |
22K05994
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中山 智宏 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00419649)
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研究分担者 |
中野 令 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (60755619)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | イヌ悪性黒色腫細胞 / 細胞死 / アルカリ性環境 / アルカリセンサー / 悪性黒色腫 / 腫瘍内pH環境 / TRPA1 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍細胞の増殖は、腫瘍組織内でのpHの変化により大きな影響を受ける。イヌ悪性黒色腫は発生頻度が高く、外科的に切除しても再発しやすく、治療困難な悪性腫瘍である。本研究では腫瘍内におけるpH環境と細胞死に関し、アルカリセンサーであるチャネルタンパク質TRPA1による細胞死と耐性獲得メカニズムを明らかにする。このメカニズム解明により、TRPA1を刺激することで腫瘍細胞死を起こす手法、そして耐性細胞除去薬の開発に必要な重要情報を得ることが可能となる。このことは、有効な治療法のないイヌ悪性黒色腫に対する新規治療法の開発、そして治療後の再発を予測診断し、その診断に基づく再発予防策の開発が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、イヌ悪性黒色腫の腫瘍内pH環境と細胞死について、アルカリセンサーであるチャネルタンパク質TRPA1誘導性細胞死と耐性獲得メカニズムを明らかにすることである。これらのメカニズムを明らかにすることにより、TRPA1誘導性腫瘍細胞死の活性化手法と、耐性細胞除去薬の開発に必要な重要情報を得ることが可能となる。本研究の成果から、有効な治療法のないイヌ悪性黒色腫に対する新規治療法の開発が見込まれる。さらに、耐性獲得メカニズムを明らかにすることは、悪性黒色腫の治療後の再発を予測診断し、その診断に基づく再発予防策の開発についても期待できる。 イヌ悪性黒色腫細胞に対するpH環境の影響についてMTT assayにて検討したところ、アルカリ性環境で細胞死が生じることを発見した。さらに、イヌ悪性黒色腫細胞をアルカリ性環境で処理し、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウム染色を行い、フローサイトメトリー解析にてPI陽性細胞(死細胞)が増加することを明らかにした。阻害剤を用いて細胞死のタイプを検討したところ、これまでに知られているアポトーシス、ネクロトーシス、パイロトーシス、フェロトーシスなどの代表的な細胞死阻害剤では抑制されなかったことから、pH依存性の新しい細胞死タイプであることが示唆された。さらに、イヌ悪性黒色腫細胞で、アルカリセンサーチャネルタンパク質TRPA1の発現を検出した。TRPA1活性化剤を用いて検討したところ、正常培養条件下においてもイヌ悪性黒色腫細胞に細胞死を誘導することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画書どおりに、アルカリ刺激による細胞死を誘導する実験系を確立できた。それに加えて、阻害剤の検討から、細胞死の新しいタイプを発見できる可能性を見出した。さらに、2年目に行う予定であったTRPA1の検出および活性化誘導システムを確立できたことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
計画どおり、これまでに申請者らが開発した阻害剤スクリーニング手法を応用し、アルカリ依存性細胞死を制御する細胞内シグナル伝達を明らかにする。さらに、上流の経路についてカルシウムシグナルとヒストンアセチル化の相互作用について解析を進めることで、細胞死制御メカニズムを明らかにする。また、新しい細胞死のタイプについても阻害剤スクリーニングに行うことで制御分子を明らかにする。
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