研究課題/領域番号 |
22K05996
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
道下 正貴 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (50434147)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 犬 / 乳腺腫瘍 / 癌幹細胞 / 多様性 / オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
癌組織は自己複製能、多分化能、治療抵抗性を持つ癌幹細胞を根源とした不均一なかつ多様な細胞集団からなり、癌発症、再発、転移に重要な役割を担っている。犬の乳腺腫瘍は多様性を有し、腺上皮細胞の腫瘍性増殖に加え、筋上皮細胞増殖および骨・軟骨増殖を伴う特有の腫瘍組織を形成する。本研究は、生体で生じる癌組織を模倣したオルガノイド培養を用いて、犬に特有の乳腺腫瘍の発症・病態機構を解明する。さらに、獣医療における癌幹細胞標的治療法の基盤を構築し、獣医療における革新的な治療戦略を目指す。
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研究実績の概要 |
癌組織は自己複製能、多分化能、治療抵抗性を持つ癌幹細胞を根源とした不均一なかつ多様な細胞集団からなり、癌発症、再発、転移に重要な役割を担っている。犬の乳腺腫瘍は多様性を有し、ヒトや猫とは異なり、腺上皮細胞の腫瘍性増殖に加え、筋上皮細胞増殖および骨・軟骨増殖を伴う特有の腫瘍組織を形成する。 本申請者は、これまで犬の乳癌幹細胞の同定および特性解析を遂行し、犬の乳腺腫瘍の新たな発症仮説の提唱、乳癌幹細胞の自己複製能を抑制する阻害剤の探索を行っている。オルガノイド培養は幹細胞を起源として臓器様構造を3次元培養する方法で、基底膜の代わりとなるマトリゲルに細胞を播種し、種々のリガンドを添加した培地を用いて培養することによりオルガノイドが形成される。癌オルガノイドも同様に癌幹細胞を含む原発腫瘍に類似した多様性を示すがん組織を構築でき、がん研究に重要なツールとして用いられている。本研究は、生体で生じる癌組織を模倣したオルガノイド培養を基軸とし、犬の乳腺腫瘍の多様性を明らかにすることが目的である。 本年度は外科切除された乳腺腫瘍およびそれらの初代培養株を用いてオルガノイド培養および軟骨分化誘導培養を実施し、形成されたオルガノイドを形態学的および免疫細胞学的に解析した。オルガノイド培養した腫瘍はそれぞれ球状のオルガノイドを形成し、良性混合腫瘍由来のオルガノイドは軟骨誘導培養に成功した。軟骨誘導培養によりcytokeratin 18陽性細胞の減数、Cytokeratin 14陽性細胞の増数がみられた。今後、症例数を増数し、オルガノイドの軟骨誘導培養および特性解析を遂行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は犬の乳腺腫瘍組織(外科切除材料)を用いたオルガノイド培養が基軸となっており、2022年度は研究に使用できるサンプルが少なく、効率よい実験ができなかったため、研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究に基軸となるオルガノイド培養系は樹立できており、外科切除腫瘍組織由来のオルガノイドの保存(バンク)を引き続き進める。オルガノドの軟骨誘導または骨誘導培養を実施し、犬の乳腺腫瘍の組織亜型における違いを明らかにし、腫瘍の多様性について評価する。また、腫瘍の多様性は遺伝子変異などが重要な要因になっており、今後、腫瘍における遺伝子変異検索および機能解析も視野に入れて研究を遂行する予定である。
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