研究課題/領域番号 |
22K06002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
柳田 哲矢 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (40431837)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 微胞子虫 / メダカ / 粘液胞子虫 / 寄生虫 / 観賞魚 / 実験動物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、国内で初めて確認された微胞子虫 P. hyphessobryconis のメダカへの病害性を明らかにするとともに、本微胞子虫が国内で流通する観賞魚に与える影響を推定する。本微胞子虫は、国外では観賞魚と実験動物の死亡原因として重要視されており、もし国内でも流行すれば大きな問題となることが予想される。しかしながら、国内では観賞魚や実験動物の微胞子虫症についての調査・研究はほとんど行われていない。本研究により、これまで国内では軽視されてきた観賞魚や実験動物の微胞子虫症に関する研究が進展すると考える。
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研究実績の概要 |
本研究では、申請者らにより国内で初めてメダカから確認された微胞子虫Pleistophora hyphessobryconisについて、1)メダカへの病害性、2)その他の観賞魚 (コイ、キンギョなど)への病原性の有無と病害性、3)国内のメダカにおける本微胞子虫の蔓延状況を明らかにすることを目的としている。 これまでの調査により、新たに6例のP. hyphessobryconis感染を確認した。これらのリボソームDNAの一部塩基配列 を決定した結果、メダカ5例については国内初症例のものと100%一致した。すなわち、これまで国内で確認されたメダカ9症例の全てで配列が一致した。この結果は、メダカで蔓延している本微胞子虫が単一の起源から急速に拡散していることを強く示唆している。一方で、テトラ由来株には若干の変異が確認され、国内に複数系統のP. hyphessobryconisが存在することが示された。 本微胞子虫によるメダカへの病害性を明らかにするため、本年度も感染実験を実施した。昨年度の感染実験では、成魚より稚魚で感受性が高いことが示唆された。ただし、感染実験開始数日以内に稚魚の全個体が死亡し、病理学的解析を行えなかった。そこで本年度は胞子懸濁液による浸漬時間を短く設定し感染実験を実施した。その結果、感染を成立させつつ、病理組織学的観察用の標本を得ることもできた。現在、病理組織学的解析を進めている。 また、野生メダカの微胞子虫感染を調査する過程で、新たに粘液胞子虫の寄生を確認した。これまで国内のメダカから粘液胞子虫が確認されたことはなく、胞子の形態と遺伝子解析の結果から新種であることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である1)メダカへの病害性、2)その他の観賞魚(コイ、キンギョなど)への病原性の有無と病害性を検証するための感染実験系は概ね確立されており、メダカの成魚と稚魚への感染実験も実施している。また、3)国内のメダカにおける本微胞子虫の蔓延状況についても新たな知見が得られている。さらに、野生のメダカにおいて新種と考えられる粘液胞子虫の寄生を確認した。以上の成果から、 おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、メダカ稚魚への感染実験を再度実施し、本微胞子虫症の病害性について詳細な検討を行う。また、次亜塩素酸ナトリウムによる処理を施した胞子を用いた感染実験を行うことにより、本微胞子虫症に対する塩素消毒の有効性を検証する。 既に特異的PCR法は確立しているが、飼育水槽や野外の生息地の水から微胞子虫のDNAを検出する定量PCR法の開発も試みる。
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