研究課題
基盤研究(C)
パラミクソ科モルビリウイルス属ウイルスは、宿主動物のSLAMを受容体として免疫系細胞に侵入・感染する。固有の宿主動物以外の動物SLAMを利用する際には、モルビリウイルスの受容体結合蛋白質(H蛋白質)に特定のアミノ酸変異が導入される。通常は、受容体とH蛋白質の強い結合刺激がある場合のみ、膜融合蛋白質(F蛋白質)の構造変化が誘導されてウイルス膜融合が完了する。一方で特定のアミノ酸変異を獲得したF(膜融合亢進型F)は、受容体とHの結合が最適化される前の弱い結合でも膜融合を誘起する可能性がある。本研究では、膜融合の亢進がモルビリウイルスの種間伝播や宿主域の拡大に与える影響について検討する。
昨年度までに構築したプラスミド、具体的には、膜融合を促進するCDV F蛋白質の1アミノ酸変 異(麻疹ウイルスのF(T461I、N462K)に相当)を導入した変異型F蛋白質発現プラスミドを用いて融合アッセイを行った。Vero/Dog SLAM細胞にCDV-Hとともに変異型F蛋白質を発現させて膜融合を誘導して、阻害剤の効果について検討を行った。その結果、既知の膜融合阻害低分子化合物(3GまたはF2736-3056)の膜融合阻害効果は、変異型F蛋白質を介した膜融合では効果が減弱することがわかった。現在、東京大学医科学研究所より分与を受けた、分割型ルシフェラーゼを用いた定量膜融合アッセイにより、膜融合を定量的に評価する試みを行っている。一方で、東京大学医学部の加藤准教授より、CDV Ac96I株の組換えウイルス合成系の分与を受けて、組換えCDV合成系の導入を行った。現在、他のCDV野外株群と比較した時に、Ac96I株に見られるアクセサリー遺伝子の変異の効果について検討を行っている。また他の野外株(5VD株)についても、組換えCDV合成系の確立を目指している。
4: 遅れている
膜融合の定量アッセイ系の確立が遅れている。またイヌに急性感染するCDVの野外株として適したウイルス株配列の特定に時間を要している。これまでに報告されているウイルス株配列では、自然感染を反映するような表現型を示すCDV野外株とはいえない可能性が考えられる。使用するウイルス株(および株をベースにした組換え合成系)についての検討が必要となり、計画の進展が遅れている。
野外株群と比較して認められるAc96I株の変異の機能に関する検討や、5VD株の合成系の確立を引き続き目指す。一方で、これまでに特定した膜融合を亢進するFの1アミノ酸変異をAc96I株に導入した組換えCDVを作製して、同変異がウイルス増殖や、種間伝播に与える影響について検討を進める。
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