研究課題/領域番号 |
22K06023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田中 知己 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20272643)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 子宮生化学検査 / C反応性蛋白 / プロスタグランジンF2α代謝産物 / 子宮洗浄 / 子宮頸腟粘液 / ジチオトレイトール / 牛 / 繁殖 / 局所バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
牛における子宮疾患診断技術の高度化を図るため、臨床現場でも実用可能な特異性の高い子宮局所におけるバイオマーカーを特定し、獣医療における子宮生化学検査の確立を目指す。牛から得られる子宮・腟サンプルを用いて、感度および精度の高い子宮疾患バイオマーカーを特定することで、繁殖障害の診断や予後判定におけるそれらの有用性を明らかにし、子宮生化学検査の普及につながる基礎データを提供する。
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研究実績の概要 |
実験1: 炎症マーカーであるC反応性蛋白(CRP)および3,14-dihydro-15-keto-Prostaglandin F2α(PGFM)の子宮生化学検査としての有用性を検証するため、細胞学的検査である好中球出現割合(PMN割合)をリファレンスとし、実験的炎症誘発モデルを用いて解析を行った。臨床現場で多用され子宮内への刺激により炎症を引き起こすことが知られているヨード剤を活用した。ホルスタイン種乳用牛(n=14)の発情周期の黄体期にヨード剤あるいは溶媒を子宮内に投与し、投与後1日において子宮洗浄液を回収した。回収液中のCRP、PGFMの濃度変化およびPMN割合を解析した。その結果、CRPおよびPMN割合はヨード剤投与群において有意に高く、PGFM濃度に両群間で有意な差は認められなかった。子宮洗浄液中のCRPは急性の炎症過程において敏感に反応する子宮内炎症マーカーであることが示された。
実験2: 獣医臨床現場において牛の子宮生化学検査検体として子宮頸腟粘液(CVM)を活用する手法を検証した。CVMは粘稠性が高いため、測定誤差が生じやすい欠点がある。これを解消するため、過去の報告を参考にジチオトレイトールを用いた前処理法の活用を検証したところ、CVM検体からCRPおよびPGFMが検出され、CVMの子宮生化学検査材料としての有用性が示された。この成績を基盤として、ホルスタイン種乳用牛(n=8)の発情周期の黄体期にヨード剤あるいは溶媒を投与し、投与後1日にCVMを回収し、CRPおよびPGFM濃度の変化を解析した。その結果、ヨード剤投与後CVM中のCRP濃度は溶媒投与群に比べて有意に増加し、PGFM濃度は減少する傾向が観察された。実験1の成績を考えあわせると、子宮疾患診断を行う上での補助検査として、CVMが子宮生化学検査の検体として有用である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的どおり炎症時における子宮内バイオマーカーの有用性を実験的に確認することができ、また、子宮洗浄検体に加え、臨床現場での応用性に優れた子宮頸管粘液を子宮生化学検査における有用な検体として活用できる手法の目処がたったため。さらに、この結果を国際学術雑誌において公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に確立した手法を用いて、牛の様々な生殖ステージにおける子宮頸管粘液検体の子宮生化学検査としての有用性を検証する。具体的には発情周期や人工授精時における子宮内環境の評価を行い、子宮頸管粘液検体中の子宮生化学所見と受胎性の関係を調査する。また、新たな試みとして、牛の子宮深部における局所的機能評価技術の確立を行い、子宮生化学検査を高度化するための基盤的な技術確立を目指す。
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