研究課題/領域番号 |
22K06036
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
小池 亜紀 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 技術員 (50415410)
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研究分担者 |
小池 学 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 上席研究員 (70280740)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | イヌ / がん治療 / 放射線 / 増感 / Ku80 |
研究開始時の研究の概要 |
イヌの革新的がん治療法開発は喫緊の課題である。イヌとヒトの一部のがんは類似した特徴を持つので、両種は同じ治療を受けられる可能性が高い。粒子線(炭素線)治療はイヌのがんに対する革新的治療法の有力候補である。しかし、イヌの炭素線治療研究は少なく、DNA修復機構に関する研究は乏しい。本研究では、イヌのがん治療法の革新と炭素線治療対象の適応拡大のために、将来の両種の一部がんに対する共通標準治療化を見据えて、イヌのDNA修復の分子機構の一端を解明し、種間比較解析などを通じて、イヌの革新的がん治療法開発に向けた次世代型炭素線増感がん治療薬の開発基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
人間社会の中で、イヌは愛玩犬や使役犬としてばかりでなく伴侶動物としても益々重要な役割を担うようになってきた。一方、栄養状態や飼育環境などが改善されてきたことや感染症予防対策などが徹底されてきたことなどによりイヌの寿命が延びたことなどから、がんに罹患し健康寿命が短くなる、あるいは、がんで命を落とすイヌが増加している。したがって、イヌの新たながん治療法の開発は人間社会にとっても重要な課題である。イヌとヒトの一部のがんの遺伝子変異や病態などは類似した特徴を持つので、イヌに自然発症したがんの治療法に関する研究はイヌのがん治療法の高度化や創薬につながるばかりではなく、ヒトのがん治療法の高度化や適応拡大にもつながることが期待されている。近年、ヒトのがん治療領域においてQOLが高く完治を目指せる革新的な治療法として注目されている粒子線(炭素線)による放射線治療はイヌのがんに対する新たな治療法として有力な候補である。しかし、イヌの炭素線治療を含む放射線治療に関する基礎研究は少なく、加えて、放射線治療効果を左右することが知られているDNA修復経路に関する研究は非常に乏しい。そこで本研究では、イヌのがん治療法の拡大と放射線(炭素線)治療対象の適応拡大の基盤を構築することを目指している。本年度は、これまでの実験結果に基づいて、DNA修復タンパク質とその変異体を発現するベクターのイヌ細胞への遺伝子導入実験などを進めた。また、放射線感受性試験を行うために、DNA修復タンパク質を分子標的とする実験システムの構築を始めた。その過程で、DNA修復タンパク質Ku70のイヌのアミノ酸配列について新たに生物種間比較解析を行った結果、ヒトとイヌの間で保存されている細胞内局在制御機構が進化の過程で広く保存されている可能性を支持する結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症への対策のために縮小していた細胞培養システムや分子生物学的実験システムの再セットアップに想定以上に時間がかかった。加えて、使用予定の機器類の故障などがあり、実験の進捗に影響がでた。また、研究分担者の通院加療などのために感受性試験に関わる実験などの実施に影響がでた。以上の理由から、研究の進捗はやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
計画にそって研究を実施する。2023年度までの結果に基づいて、自然発症イヌ難治がん由来細胞と遺伝子改変細胞などを材料に研究を実施する。また、前年度までの結果に基づいて、DNA修復タンパク質の細胞内局在とその制御に関する解析をひきつづき行う予定である。まずは、予定する実験と遅れが生じている実験について必要な方策を検討し、研究を進める予定である。
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