研究課題/領域番号 |
22K06040
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60467058)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Dead end1 / 精巣テラトーマ / 生殖細胞 / 始原生殖細胞 / 腫瘍幹細胞 / 腫瘍 / テラトーマ |
研究開始時の研究の概要 |
マウスの始原生殖細胞は、胎生期にembryonal carcinoma(EC) 細胞へと転換し、様々な細胞や組織へと分化して生後に精巣テラトーマを形成することがあ る。申請者はこれまでに、マウス RNA 結合タンパク質 Dead end1 の条件付き欠損が精巣テラ トーマの発症を誘導することを見出し、その胎仔精巣にEC 細胞が発生することも見出した。本研究においては、以前に同 定した遺伝子が EC 細胞特異的マーカーであることを確認する。さらに、遺伝子改変マウスの作製を通じて、このマーカー遺伝子の発現を誘導する分子メ カニズムを明らかにすることによって、EC 細胞発生の分子機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
哺乳類の始原生殖細胞は、胎生期の精細管内で腫瘍幹細胞であるembryonal carcinoma(EC)細胞へと転換し、様々な細胞や組織へと分化して生後に精巣テラトーマを形成することがある。申請者はこれまでに、マウスRNA結合タンパク質Dead end1の条件付き欠損が精巣テラトーマの発症を誘導することを見出し、その胎仔精巣のsingle-cell RNA-seq解析によってEC細胞のマーカーと考えられる遺伝子を同定している。しかしながら、この遺伝子が本当にEC細胞のマーカーであるのか、また、どのように発現誘導されるのかは不明である。 2023年度においては、single-cell ATAC-seq解析のデータとsingle-cell RNA-seq解析のデータを統合し、生殖細胞からEC細胞への転換期にある細胞群を同定し、その細胞群に特異的に発現する転写因子を抽出した。そのうちの一つの遺伝子について、floxマウスを理研BRCより購入してDead end1条件付き欠損マウスに導入し、Dead end1とのダブルcKOマウスを作製した。その結果、EC細胞は発生するものの維持できずに死滅し、テラトーマの発症が抑制されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度にsingle-cell ATAC-seq解析のデータとsingle-cell RNA-seq解析のデータを統合し、生殖細胞からEC細胞への転換期にある細胞群を同定することに成功し、その細胞群に特異的に発現する転写因子群も明らかにした。さらに、遺伝子改変マウスの作製によって、そのうちの一つがEC細胞の発生に必須因子であることも明らかにした。これらは計画の一部が順調に進んでいることを示している。一方で、EC細胞の発生運命を追跡する実験については、Car4-Creの作製がうまくいかないために順調とは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、遺伝子欠損マウスの作製によって、EC細胞の発生に必須因子の一つが明らかになった。この因子の欠損マウスにおいては、EC細胞は出現するが維持されずに死滅する。一方で、EC細胞の出現そのものを制御する因子の候補もすでに同定しており、今年度はその遺伝子の欠損をDead end1条件付きマウスに導入して、EC細胞の発生を解析する予定である。 また、我々はPreim型多能性細胞を培養する条件でEC細胞を培養することができることを明らかにしている。そこで、EC細胞へと転換する前のDead end1条件付き欠損始原生殖細胞に、同定した遺伝子をウイルスベクターを用いて強制発現させ、その後に培養することでEC細胞への転換に十分な因子の同定を進める予定である。
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